進和建設工業、高層建築可能な壁式構造採用

進和建設工業

建築|2025年05月31日

関西初の壁式9階建てを竣工

 賃貸住宅の建築事業を行う進和建設工業(大阪府堺市)は、壁式構造で関西初となる9階建ての賃貸マンションを4月に竣工した。

壁式構造 賃貸マンションの外観

壁式構造で建築された9階建て賃貸マンションの外観

 同物件は、大阪メトロ谷町線太子橋今市駅から徒歩1分に立地する。RC造9階建ての全24戸で、専有面積は29.6㎡、間取りはすべて1LDKだ。家賃は周辺相場と同等程度で、8万~8万5000円に設定。単身者をメインターゲットに設定した。

 同物件の特徴は特殊壁式構造を採用している点がある。壁式工法は壁で建物の荷重を支えるため、高層化すると壁の厚みが必要になる。そのため、コストパフォーマンスを考えた設計に難点があるが、今回の物件は地盤が悪く、あえて建物を軽量化できる壁式構造を採用。

 建物が地震に対して持つ水平方向の抵抗力を計算する保有水平耐力計算と壁量設計を組み合わせることで、壁式構造でも12階まで建築可能な特殊壁式構造を利用した。

 壁式構造を採用することで大きく二つのメリットがある。一つ目は建築費の削減だ。柱で支えるラーメン構造と比較して建物の総重量が軽くなるため、コンクリートや鉄筋を減らせる。今回竣工した賃貸マンションでは、同規模のラーメン構造の物件と比較してコンクリート量は約15%、鉄筋量は約30%削減できた。

 さらに、建物の総重量が軽いため基礎も少なく済む。基礎に使用するくいの径を細くできるため、小さい杭打機で対応が可能。くいの費用や施工費用も削減できる。その結果、従来の同規模の物件と比較して、建築費は7%安くなった。

 二つ目は耐震性能の向上だ。ラーメン構造の場合、建物を頑強に造ることで地震に耐えるが、特殊壁式構造は保有水平耐力計算を用いる。これにより、揺れることで地震の衝撃を受け流すように設計。ラーメン構造よりも耐震性能が高くなっている。

居室内 壁式構造

居室内は壁式構造を採用するため、柱の凸が少ない

 そのほかにも工期が従来より1カ月短縮されたり、柱が不要なため各居室の空間が広く取れたりする利点もある。表面利回りも従来より0.5ポイント上げることができた。

 西田芳明会長は「20年と比較して建築コストが3割上がっている。現場の状況によって、新工法を取り入れることで、建築コストと工期の圧縮に力を入れ、物件の状況に合わせた工法で建築していく」とコメントした。

 壁式構造はラーメン構造と違い、梁が不要なため同じ天井高であっても、階高を抑え、階数を確保することができる。そのため今後は、高さ制限のあるエリアでも壁式構造を採用することで、ラーメン構造より階数を増やせる可能性があるとする。

進和建設工業 西田芳明会長の写真進和建設工業
大阪府堺市
西田芳明会長(73)

(2025年6月2日2面に掲載)

おすすめ記事▶『進和建設工業、賃貸を建築 24年度39億円計画【新社長インタビュー】』

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