賃貸管理会社向けの基幹システムの老舗、ビジュアルリサーチ(東京都港区)は、2025年4月に創業30年を迎えた。3代目社長に就任した小野貴広氏は、同社のシステムを技術面で支えてきたCTO(最高技術責任者)を経て、23年3月に内部昇格した。小野社長は「閉鎖的とみられてきた会社を、賃貸不動産業界全体に開いていく」と話す
「賃貸業界全体に開いていく」
AIを積極導入 Googleとも協力
――外部企業との接点強化を打ち出しています。Google Cloud社との協力体制も強化しているようですが。
Google Cloudとは、同社が開催する世界中のエンジニアが集まる「Google Cloud Next(グーグルクラウドネクスト)」という技術イベントをきっかけに関係を深めました。2022年の同イベントで、オファーを頂き登壇した際に、Google Cloudの「Cloud Run(クラウドラン)」を使って実現したいことをスピーチしたところ、好評価をいただきました。先日、Google Cloud 平手智行日本代表との対談(全国賃貸住宅新聞5月26日号10・11面掲載)で平手代表が話していましたが、Google Cloudはカスタマイズ性が高く、AI(人工知能)を使ったビジネス展開など、当社の経営方針やサービスとの相性が良いと感じています。
――AIについてどのように考えていますか。
24年、ある化学工業会社にて、半導体材料を創出するのに従来のやり方(人間による配合計算)では約10万年かかるといわれていたものを、AIを用いて約10秒で解決することができたと発表され、IT業界で話題になりました。賃貸不動産業界で年単位の業務は見かけませんが、「この2時間の作業が5分で終われば...」という処理の集合体がいくつも存在します。そのため、どれか一つの作業をAIに置き換えるだけでは業界が良くなったとは言えません。多岐にわたるいくつもの作業を効率化させることで総合的な業務改善につながります。
――内製化にこだわらず、外部企業との協力体制を強化していく方針ですか?
自社のみで全方位に向けて何とかしようとすると、広く浅いサービスを提供することになりかねません。「スピード感を持って業界を良くしたい」というのが当社の願いです。高い志と深い専門性を持った企業と、積極的に連携を図りたいと考えています。