改正住宅セーフティネット法施行直前【スペシャル座談会】

一般社団法人全国居住支援法人協議会,公益財団法人日本賃貸住宅管理協会

インタビュー|2025年08月06日

(左から) 日管協副会長 荻野 政男氏         日管協副会長 全居協副会長 三好 修氏              全居協会長 村木 厚子氏               日管協会長 塩見 紀昭氏

 10月に施行を控えた改正住宅セーフティネット法の下、住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)の受け入れは進むのか。オーナーの経営リスクを抑制する仕組みづくりが求められている。管理会社と居住支援法人の果たす役割や制度活用の可能性について、一般社団法人全国居住支援法人協議会(以下、全居協:東京都新宿区)の村木厚子会長と公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協:東京都千代田区)の塩見紀昭会長らが座談会で語り合った(敬称略)。

管理会社が「橋渡し役」担う 要配慮者と居住支援法人結ぶ

会員359、母体は不動産と福祉

―全居協についてお聞かせください。

 村木 2019年6月に発足し、25年3月末で会員は359団体になりました。居住支援法人が集まる団体としては唯一で、一番大きな団体です。出身母体は不動産関連と福祉系で出自が大きく分かれます。皆、得意な分野と不得意な分野があります。

 全居協の主な仕事は研修と仲間づくりです。メイン事業である研修については、居住支援に携わる人材の研修や研究会、シンポジウムの開催を通じて、支援の質向上と人材育成を図っています。福祉系団体と不動産関連企業とで、研修内容を変えることもあります。もう一つは、仲間づくりです。全国の居住支援法人や関連団体同士が情報や課題、事例を共有できるネットワークを構築し、連携を強化しています。それぞれの法人は得意分野があり、全体は詳しくないという法人も多い。地域の中でトータルに支援を展開できる居住支援法人が中核となって、地域のネットワークをつくることを全居協が手伝うケースもあります。

 それに加えて、民間団体である全居協が、国土交通省・厚生労働省を呼んで同じテーブルに着いてもらうことの意義がとても大きいことがわかりました。

 居住支援法人といういくつかの省庁にまたがる分野が縦割りにならないように、役所の人みんなに、一緒に考えてもらっています。そういった活動を通じ、今回の法律の見直しの際、国交省の管轄から、国交省と厚労省の共管になり、連携がとりやすくなりました。そういったことも含めてずっと政策提言をし続けてきました。

居住支援法人とは

―賃貸住宅業界から見たときに、要配慮者の受け入れの状況についてどう捉えていますか?

 塩見 地域差があります。私は都内で事業を行っていますが、稼働率も高く、家賃も上昇傾向にあります。市況が好調な中、不動産会社もオーナーも要配慮者に目が向きにくいのが現状です。ただ、急速な高齢化も肌で感じています。われわれはどうやって要配慮者のお客さまに寄り添えるかに向き合っていくべきだと考えています。そのような意見も事業者側から出てきています。中でも、特に若い層に多い印象です。改正住宅セーフティネット法の波に乗って、業界として対応を広げていく、いい時期だと思っています。入居者も高齢化しており、この対策もしなければなりません。

 三好 管理会社が現状をきちんと認識し、物件を供給していくことがテーマ。ぜひ日管協の塩見会長に頑張っていただいて、日管協の会員2500社超のうち2〜3割は全居協に入るようになってほしいです。借りる人と物件供給の二つがないと成り立ちません。貸し渋るオーナーに対して、法律の改正や孤独死リスクの回避策などを説明して理解させるのは、管理会社の役割です。

 荻野 住宅セーフティネット法施行当時、賃貸住宅業界では特に外国人入居者の受け入れに注目が集まっていました。地方では空き家問題が深刻で、解決策の一つとして外国人の受け入れへの関心度が高かったのです。行政から依頼を受け全国各地の説明会に赴いた時は、都市部より地方の不動産事業者やオーナーのほうが真剣に耳を傾けてくれました。昨今、地方でも単身高齢者が増え、入居者が多様化するのに伴い、管理会社は新しい賃貸管理を模索しなければなりません。そこで問題になるのが、自分たちができることとできないことの判断。できないことは居住支援法人につないでいく。不動産会社はつなぎ役、橋渡し役になります。

 改正法の下、全居協と日管協で協力して、セミナーや実務者向けのマニュアル整備を検討しているところです。

空室増の地方、受け入れに商機 「新制度に魂を入れるのは我々」

居住サポート住宅モデル化へ

―10月から施行される改正住宅セーフティネット法によって、要配慮者の受け入れにどのような変化が期待できますか?

 村木 今回の法改正には、三つのポイントがあります。一つ目は、家主の不安感のさらなる払拭です。このために、終身建物賃貸借の認可手続きの簡素化、居住支援法人に残置物処理業務を委託できる仕組み、家賃債務保証業者の認定制度を設けました。二つ目は、「居住サポート住宅」の創設です。住宅に見守り支援の基本サービスを付ける、言ってみればセットメニューです。ICT(情報通信技術)などにより、毎日安否確認をする。月1回の訪問サービスを行い、必要なときには福祉につなぎます。

 こういったサービスを備える住宅の類型をつくっていこうとしています。そういう住宅を提供する家主と、ソフトサービスを提供する居住支援法人が連携するスタイルを想定しています。これを広げられるか、ビジネスモデルを示していきたい。

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