家賃債務保証(以下、家賃保証)大手の全保連(沖縄県那覇市)のトップに就任した茨木英彦社長は「家賃保証業界を底上げしていく」と語る。三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG:東京都千代田区)の一員として、シナジー効果を生かした新事業やDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進め、利益体質の強化に取り組む。
MUFG連携で成長加速
グループ力生かす
茨木社長は新体制下の方針として、大きく二つを挙げる。
第一に、MUFGとのシナジーを生かすこと。特に積極的に推進しているのは、2026年春までの導入を目指す家賃のクレジットカード支払いサービスだ。三菱UFJニコス(同)が提供するカード決済サービスを全保連の家賃保証に組み込み、ポイント還元を求める入居者のニーズを取り込むことで顧客層の拡大を狙う。
第二に、家賃保証業界の信頼性向上。茨木社長は「全保連に入社した時から、自力救済が横行する業界が顧客に不安感を与えている状況を憂いていた」と語る。
同社は23年10月の東証スタンダード市場への上場時に、財務体制やガバナンスを徹底的に整備したほか、厳格な社内ルールを導入してきた。MUFGの信用性が加わることで、顧客の安心感をさらに高めていく。
グループとしてのシナジー創出も見込む。MUFGが6月に提供を開始した金融プラットフォーム「エムット」において、今後、全保連の家賃保証がピースの一つとして組み込まれることを想定する。
「家を借りる顧客」との接点を同社が持つことで、その後の「家を買う顧客」に対しMUFGとして住宅ローン提供へつながる可能性があるとみる。家賃保証サービスをエムットのメニューの一つとし、顧客との接点を増やす。LTV(顧客生涯価値)の最大化を図る狙いがある。
「大手金融グループの一員として、一流かつクリーンな家賃保証会社を目指す。オーナーや入居者が安心して利用できる環境づくりに取り組み、業界全体の信頼性の底上げを図りたい」
全保連本社オフィスの外観
売上・利益、過去最高
業界で存在感を示し続ける全保連は、25年3月期の売上高が256億5800万円と、2期連続で過去最高を更新。当期純利益は、(株式公開買い付け)関連費用の3億円を特別損失に計上しながらも16億2100万円と過去最高だった。この成長にはDX推進による大幅なコスト削減などが寄与したとする。





