朝日リビング、空室改善強みに売上高97億円

【企業研究vol.296】朝日リビング

インタビュー|2025年08月13日

朝日リビング 大阪市 則安 盛久 社長

 賃貸住宅のリノベーション・修繕工事で豊富な実績を持つ朝日リビング(大阪市)。建物メンテナンスにとどまらず、リーシングも重視した提案を強みにリピート顧客を増やす同社の則安盛久社長に話を聞いた。

CS部門整え 顧客満足度向上へ

―2025年3月期の業績はどうでしたか。

 売上高は97億円、工事件数は6168件と、共に新型コロナウイルスの感染拡大前の最高水準と同等の結果となりました。事業の核である賃貸住宅が金額ベースで約79%を占めていますが、事務所や店舗など、賃貸住宅以外の案件も増加傾向にあり、増収につながっています。

売上高の推移

―賃貸住宅以外の案件増加の要因は。

 一つ目は建物種別の多様化です。賃貸住宅の工事をきっかけにオーナーと向き合う中で、自宅や、会社を経営している人であればオフィス、取引先の支店・支社などに関する相談を受けることが増え、案件の受注につながっています。二つ目は大規模案件の受注が増えていることです。建築関連法令の順守などコンプライアンスへの関心が高まっている中、当社でも法令順守を徹底しています。

―具体的には。

 産業廃棄物処理やアスベスト含有調査のほか、一側足場の明確化における施主負担必須の改正についても事前説明を徹底することで、大手企業からの信頼獲得、ひいては大規模案件の受注につながっています。

―同じ顧客からのリピート受注も多いのでしょうか。

 私が代表に就任した15年12月末時点で60%前後のリピート率でしたが、現在は約80%に達しています。これには、5年ほど前から顧客満足度(CS)をアンケート調査などに基づいて数値で把握し、全社的に向上策に取り組んだことが影響しています。商談メモを複写式にして関係者間で共有したり、問い合わせへの30分以内の返答をルール化したりするなど、具体的な施策を実行しフォローアップに努めました。

―組織体制の変更もあったのでしょうか。

 CS部門の整備を実施しました。以前は全国の部署ごとで対応する縦割りの構造でしたが、全国の拠点に横串を通すように所属するマトリクス型を採用したのです。その結果、顧客の要望やクレームの集約、知見の共有などがしやすくなりました。顧客向けアンケートはこれまで受注額で300万円以上の案件を対象としていましたが、今後は顧客のリアルな声を拾いやすくすべく対象を広げていく予定です。

リーシングに重点 多角的視点で提案

―賃貸オーナーへの営業スタイルに、どのような特徴がありますか。

 当社はもともと、不動産管理会社と連携してオーナーにアプローチする「BtoBtoC」型の提案を行っています。空室改善や物件価値向上など、賃貸経営を支援するという目的を共有し、相互に高め合うことができる管理会社との協力関係は引き続き強化していきます。

―賃貸住宅の提案力の強化策は。

 老朽化への対応からリーシング(空室対策)までを見据えた提案を行う「リノベーションレポート」を軸に、より多角的な視点での提案ができるようにしていきます。14年に立ち上げた「女子力企画室」は、まさに多様な視点から提案を行うことを目的にしたプランナーチームです。現在30人ほどが所属し、その多くが子育て経験のある女性プランナーです。ビルメンテナンスにとどまらず、入居者の居住快適性や住んでみたいと思われるデザインを取り入れるなど、リーシングにも重点を置いた提案に強みを持ちます。以前は各営業所に所属するプロジェクトチームの位置付けでしたが、女性管理職の登用と同時に全社的な組織に発展し、こちらもマトリクス型で全国の案件に横断的に関与する形になっています。

―社内表彰制度も充実している印象です。

 もう10年ほど前になりますが「新人賞」や「リノベーション賞」などの制度を刷新しました。例えばリノベーション賞では、それまで審査過程が見えなかったため、金額が大きい案件や派手な案件が評価されると捉えられ、社員が自分ごととして考えにくい状況にあったのです。それを変えるべく、社員投票で受賞者を決定する制度に改めプロセスを透明化しました。エントリー資料もフォーマット化し、課題解決、ターゲットへのアプローチなどの観点から客観的に審査できるようにしました。このような取り組みを経て感じているのは、賞によるモチベーションアップだけでなく、快適で安全な空間をつくるという会社理念の実現に向けて、社員同士のノウハウの共有や、仲間の仕事を評価するためのリテラシー向上にもつながっているということです。

―今後の展望は。

 業績面では、今期は売上高100億円を突破する計画です。そのためには、社員が働きやすい組織や仕組みづくりが必要です。当社では、オーナーやパートナー企業はもちろん、最終的にその空間で暮らす入居者の立場に立って考える姿勢を社員育成の中核に据えています。これは、相手の気持ちに寄り添う「おもんぱかる」心を大切にするという、当社が掲げている価値観であり、日々の行動の中での実践に努めていることです。この価値観を浸透させることで、持続可能な成長を実現していきたいと考えています。

会社概要

所在地:大阪市北区豊崎3丁目19番3号 ピアスタワー11F
設立:1979年5月30日
資本金:1億円
事業内容:外壁改修工事、内外装リフォーム全般、エクステリア工事など

社長プロフィール

 1971年4月生まれ。兵庫県明石市出身。大学で教育学科を卒業後、スポーツインストラクターを務めたのちに神戸市のリフォーム会社に入社。朝日リビングには2001年に入社し、リフォーム営業や総務部部長を経て、15年12月に代表取締役社長に就任。

(2025年8月11日13面に掲載)

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