ネットは高速無料で差別化
この記事では、周辺相場より家賃が高くても入居が決まる付加価値設備に関するアンケートの結果を紹介する。単身者向けの1位は「高速インターネット(1Gbps以上)無料」。物件に付加価値をつけるためには、ネット回線の質も重要になってきているようだ。
高速インターネット(1Gbps以上)無料(単身者1位・ファミリー2位)
単身向け6割導入
年間1783件の賃貸仲介を行うワイケイマネジメント(岡山県倉敷市)は、高速インターネットの無料サービスに需要を感じている。高速ではない通常のインターネット無料物件と比較して賃料を1000円程度上げられているという。
商圏は倉敷市。単身者、ファミリー共にニーズがあるが、特に10〜20代からのニーズが高く、1K、1LDKの単身者向け物件での導入が進む。すでにこれらの間取りの管理物件では6〜7割程度で導入済みだ。
単身者の場合は自宅でのテレワークやゲームの通信環境を確保するため、ファミリーの場合は世帯あたりの人数が多いことから通信速度が落ちることを気にして要望する場合が多いという。
同社の担当者は「無料インターネットがすでに設置されている物件でも、自身で別の高速インターネット回線を導入する人が目立つようになった。インターネットの通信速度を気にする顧客が増えていると実感している」とコメントした。
年間賃貸仲介件数約2000件の天極(埼玉県川越市)も、家賃が高くても入居が決まる設備として高速インターネット無料を挙げた。導入にかかる費用をそのまま家賃に転嫁しても、入居者を獲得できるという。
同社は本社を構える川越市をメイン商圏とする。賃貸仲介で取り扱う物件の家賃帯は、肌感覚で、単身者向けで6万円、ファミリー向けでは9万円がボリュームゾーンだ。
特に無料高速インターネットを要望するのは、テレワークをする社会人や、オンラインゲームをプレーする学生だ。
賃貸営業部の柴田佳英氏は「これまでは一棟に一つのインターネット回線を導入し各戸に分配して、無料で提供することが主流だった。だが、それでは各戸の通信速度が遅くなる」と話す。特に夜間は外で活動していた入居者が帰宅し、一斉に回線を使用しがちだ。そのため「インターネットがつながらない」などのクレームが発生しやすくなる。住み替え前の物件で通信速度にストレスを感じた層が、引っ越し時に高速インターネットを要望する傾向にある。
「無料高速インターネットでも、安いサービスでは利用料が月1000円ほどのものもある。その費用を家賃に上乗せしても、入居者は獲得できる」(柴田氏)
インターネット無料(単身者2位・ファミリー3位)
割安感で選ばれる
前回1位の「インターネット無料」は、単身者向け・ファミリー向け共に3位となった。
年間賃貸仲介件数2万7276件のビッグ(北海道札幌市)は、無料インターネットの導入で単身者向けとファミリー向け共に家賃を上げて成約できるとする。
営業本部の加藤大貴課長は「ネット費用が家賃に含まれている点で、割安感を持つ人が多い。単身者の場合、ネット無料の物件の家賃相場は6万〜7万円前半。5万円台後半で部屋探しをしていた人が、ネット無料という点で6万円台の物件に決めるケースはある」と話す。
ファミリー向け物件の場合は、ネット無料の物件は2LDKで9万〜10万円台となり、同じく9万円以下の予算で部屋探しをしていた層が成約する傾向がある。
「新型コロナウイルス以前と比較し、問い合わせの段階でネット無料を条件に挙げる人が増加傾向にある。コロナ下で在宅勤務などが浸透し、高速ネットを求める層へとニーズが細分化してきた」(加藤課長)




