デベロッパーのエスリード(大阪市)の子会社で、管理戸数約1万8000戸のエスリード賃貸(同)の新社長に、泉憲佑氏が就任した。新体制下では、管理物件での月額サービスの展開などにより、家賃を高価格帯に押し上げていきたいとする。
ジム利用、動画見放題で高賃料
1万8000戸を管理 不動産業、20年経験
泉社長は「管理物件において、付加価値を提供することで相場よりも高い家賃帯の物件づくりを推進していく」と話す。収益性を高められる点を強みにオーナーの信頼を得て、親会社が開発した物件以外の管理も獲得することを目指す。
同社は、東証プライム市場に上場し、収益不動産の開発を手がけるエスリードを親会社に持つ。エスリードが開発した物件の管理をエスリード賃貸が担う。エスリードから供給される物件数は年間1500〜2000戸ほどで、10月末時点で約1万8000戸を管理している。
泉社長は新卒時から20年以上、不動産業界で経験を積んできた。2004年に、新卒で事業用不動産のアセットマネジメントを行う会社に入社。6年勤めた後、大手管理会社に転社し、20年に取締役に着任。21年からは社長に就き約3年、経営の指揮を執った。
25年2月からエスリード賃貸の経営に参画し、10月1日付で同社社長に就任した。
入居者サービス付 若年層向けに提供
泉社長はエスリード賃貸の強みを「高家賃帯でも入居者を獲得できる点」と考えており、その長所を伸ばしていきたいとしている。その施策として、入居者向けサブスクリプション(定額課金)サービスの提供など、付加価値のある物件の展開を構想する。
具体的にはRIZAP(ライザップ:東京都新宿区)が運営する無人運営フィットネスジム「chocoZAP(チョコザップ)」に無料で通うことができるサービス付き物件の展開などだ。
同サービスを付けた物件はすでに供給を開始している。9月に竣工した「エスリード難波AGREA(アグレア)」で提供した。同物件はJR大阪環状線今宮駅から徒歩7分の場所に位置している。RC造15階建て、全98戸の物件だ。専有部の間取りは1Kで住戸面積は20㎡超。
エスリード難波AGREA
物件の全入居者は、chocoZAPに好きなだけ通うことができる。立地の良さなどさまざまな要因が重なり、相場家賃が7万円後半のところ、同物件の平均家賃は共益費込みで8万1300円に設定している。
このほかにも、動画配信サービスを全戸に導入し、入居者は同サービス内で配信されている動画が見放題になる物件などを提供した。
入居者サービスの周知は、導入済みの入居者アプリ「totono(トトノ)」を通して行う。入居者アプリの利用の促進にもつなげていきたいとする。
「こういったサブスクリプションサービスを付加価値とし、差別化を図っていきたい。エスリードの開発物件は基本的に単身者向け物件で、20代後半〜30代前半の比較的若年層の入居が多い。昇給などで住み替えを考える層をターゲットとしており、そういった層に刺さるサービスを提供していく」
サブスクリプションサービス以外にも、ペット飼育可能としたり、高速インターネットを導入したりした、入居者のニーズに合わせた物件の強化も並行して行っていく。
PM事業に注力 足元で2万戸目標
入居者サービスの提供によるソフトサービスに力を入れるだけではなく、新築時に賃貸仲介事業者への営業活動を強化するなどで、高家賃帯での入居者獲得に注力する。それにより、既存オーナーの満足度を高め、追加受託や新規オーナーの獲得につなげていきたいとしている。エスリードから供給される物件以外にも管理を積み増し、ストック収入を強化していく。そのほか、ファンド向けプロパティマネジメント事業に力を入れ、一棟管理の拡大を図りたいとする。現状は投資家への区分販売を基本としているため、区分による管理が多いという。
こうした管理受託策により、26年3月期中に管理戸数2万戸の達成を計画している。長期的には、エスリードからの供給戸数と、それ以外による受託戸数の割合を半数ずつにまでにしたい考えだ。
(國吉)
(2025年12月1日20面に掲載)




