管理会社3社の事業拡大戦略
管理費半年無料
ちはや不動産
千葉市
古宮竜馬社長
当社が管理会社として最も工夫をしている部分は、サービスの設計になる。まず管理の仕組みとして、管理開始から6カ月間は管理料を無料にしている。この間に管理の方針が合わないなどの問題があった場合は、違約金なしで解約可能だ。オーナー側としても小さな管理会社に任せるのはリスクがあると思うため、自分たちもリスクを共有するという形にした。
ただ、これはあくまでも建前というところで、管理会社を変えるのは簡単ではないと思う。実際に無料期間が終わった後に解約するケースは今のところ起きていない。
もう一つの工夫として、オーナーごとに専任の担当者を置き、私も参加する形で個別に「LINE」のグループチャットを作成している。現場からの修繕の様子を撮影した動画や写真の送付、入退去の報告などもすべてLINEを使う。オーナーの人となりを直接感じることもできるので、やって良かったと思う。
ほかにはデジタル名刺の活用や、「ユーチューブ」をはじめとするSNSの積極的な運用のほか、管理戸数を増やした際には歩合給を出すなど社内制度の設計の見直しも行っている。
当社は規模が小さい会社だが、だからこそ小回りが利くというところを強みにしていきたいと考えている。
退去させない秘訣
札幌オーナーズ
北海道札幌市
大西裕司社長
当社は共用部の清掃を外注にせず、自社で雇用した社員やパート従業員が毎日、物件を巡回して行っている。メリットとして、物件に問題が発生した際に情報の吸い上げが速い。巡回する社員にはタブレットを持たせていて、巡回時の写真をアップロードしつつ報告書が提出できる仕組みもある。
これは新入社員の研修としても行っていて、新人は物件の場所や特徴を覚えることができることに加え、物件をきれいにするという意識が根付くので、教育の一環としても清掃作業を重視している。
管理戸数増加の施策としては、自社オリジナルの空室対策の商品をつくったことも大きい。「楽賃(らくちん)メンバーズ」という入居者向けの会員制サービスで、毎月3300円の会費を支払うことで契約時の初期費用ゼロで入居できる。これには多数の特典も用意しており、退去時の原状回復費用がかからず、管理物件間の引っ越し代も無料。入居中は電子書籍の漫画や雑誌が読み放題で、鍵を紛失した際の解錠作業料や、水道凍結の解氷作業代も含まれる。さらに急病の際に病院まで行くタクシー代を、年1回まで負担するなどのサービスを充実させた。
空室を埋めることだけに注力しがちだが、入居者の満足度を上げて退去させないことも、高入居率を維持するための立派な空室対策。いわゆる「入居者を出さない管理」を実践し、入居率を高めて受託を増やしている。
フェア会期中、初回のセミナーにもかかわらず満席だった
2000戸が損益分岐点
冨士物産
静岡県浜松市
西田行宏執行役員
当社は管理料で収益を上げることを想定して入居率の改善に力を入れてきたが、管理業務を開始した頃はそれだけでは難しい状況だと思われた。
だが、管理戸数が2000戸を超えてきた頃から、保険や、原状回復、リフォームの売り上げなどの付帯の部分での収益が出てくるようになり、ようやく採算が取れてきた。
管理戸数2000戸というのが管理会社にとっての損益分岐点になると言われており、これを超えれば経営が安定してくる。それまでは売買仲介やリフォーム、建設といったような、売り上げを補填(ほてん)する事業で利益を出していく必要があるだろう。
後発の管理会社は、特徴的なストロングポイントを持っていないと難しい。もし賃貸仲介をメインで行っているのであれば、客付けをストロングポイントにして管理獲得をしていくことが、収益を改善する一番の近道だと思う。
また地道な営業で知名度を上げていくことも重要だ。地域に根付いて続けていくことで、徐々に知名度がアップしてくる。知名度は信用につながるので、商圏での管理獲得比率が格段に上がってくるだろう。
(2026年3月2日21面に掲載)





