不動産業界でもAI活用への関心が高まっている。一般社団法人不動産テック協会では、会員企業の不動産会社とテック企業が連携しながら実務へのAIの活用方法を模索している。同協会の巻口成憲代表理事は「AIを活用したデータの収集、分析が生産性向上や事業成長の鍵になるだろう」と語る。
データと経営判断が競争力の源
会員97社に拡大
不動産テック協会の会員数は97社に上る(6月11日時点)。そのうちテック企業が約6割、不動産事業者が約4割となっている。同協会では不動産テックに関する情報発信や標準化、人材育成、ビジネスマッチングなどを推進する。
巻口代表理事は「不動産会社が協会に加入する主な目的は情報収集。現場課題を解決するための実務的なノウハウや最新サービスの情報を得る場として活用されている」と話す。ビジネスマッチング部会やAI活用推進部会を中心に、会員間での情報交換が進んでいるという。
不動産テック業界では既存サービスへAIを組み込み、高度化を図る動きが加速している。チャットボットや契約書分析など、デジタルで完結する領域ではAI活用が当たり前になりつつある。しかし、不動産会社における導入状況は企業規模や地域によって差があるのが実情だ。大手企業では組織的な活用が進む。一方、中堅・中小企業では日常業務に追われ導入が進んでいないケースも少なくない。都心部と地方との間にも活用度合いの差が生じているという。
顧客対応が高度化
不動産会社においてAIの影響が大きい業務はどこにあるのか。
巻口代表理事は「デジタルで完結する業務であれば、ほぼすべての領域で活用できる」と断言する。そのうえで、特にリード獲得や顧客分析に基づく潜在顧客へのアプローチで高い効果を発揮するという。
「大手企業を中心に、チャットボットを活用して営業担当者を支援し、成約率向上につなげる事例が出てきている。AIは単なる定型回答ではなく、顧客の細かな表現や意図を読み取り、ベテラン営業担当者のような対応を再現することもできるようになっている」
これまで不動産業界では、顧客からの問い合わせに対応する受動的な営業スタイルが一般的だった。しかしAIによって顧客データを分析し、ニーズを予測したうえで提案を行う「能動型営業」への転換が進みつつあるとみる。





