導入後の運用も支援
鍵の保管や受け渡し、入退去時の交換、紛失時の対応。賃貸管理の現場では、物理的な鍵を扱う業務に多くの手間がかかる。スマートロック開発のライナフ(東京都文京区)は、こうした負担を軽減するスマートロックとして、10月より「ライナフロックS」の本格提供を開始した。物件への設置のしやすさに加え、入居者対応まで含めた運用支援を特徴とする。
幅広い錠前に対応
スマートロックは、導入しても暗証番号の変更に現地訪問が必要だったり、操作方法の問い合わせが管理会社に集中したりする場合がある。杉村空取締役は「物理鍵を扱う負担を解消して、なおかつ新しい負担を生み出さない形で鍵管理業務を再構築することを目指す」と話す。
同製品は、専用の金属プレートを既存の錠前に固定し、本体を取り付ける独自の方式を採用。レバーハンドルやプッシュプル、面付け、握り玉など幅広い錠前に対応する。引き戸以外のドアに設置可能で、設置適合率は99%。約10~15分で取り付けられ、扉などを傷つけず原状回復もできる。
解錠方法は暗証番号、カード、スマートフォンアプリのほか、オプション機能として手のひらの静脈認証も備える。本体は電池式で、稼働にWi-Fi環境を必要とせず、機器自体の通信費も発生しない。
管理業務に合わせ、「空室モード」と「入居モード」を設けた点も特徴だ。空室時は管理用の暗証番号で、内見や工事業者の出入りに対応。入居者がアプリで利用を開始すると管理用の権限が無効になり、入居者用に切り替わる。退去時は、管理会社による退去日の登録と入居者によるアプリでの退去処理を通じ、入居者の権限を失効させ、管理用の権限を復活させる。
スマホと本体のBluetooth通信を介して情報を反映するため、権限切り替えのために管理担当者が現地を訪れる必要がない。鍵の保管や棚卸し、貸与・返却などの業務削減にもつなげる。
60社が先行導入
料金プランは、初期費用がかからない月額プランと、初期・月額費用ともに発生せず契約期間の定めもない入居時課金型プランの2種類。後者は従来の鍵交換費用をスマートロックの利用費に置き換える考え方で、空室期間中の月額負担を抑えられる。最低導入台数は設けず、1台から利用できる。
導入後は、入居者からの問い合わせを24時間365日、コールセンターが直接電話で受け付ける。緊急時は提携する鍵事業者の駆け付けサービスにつなぐほか、電池交換に関する問い合わせにも対応。アプリでは電池残量を確認でき、交換用電池の注文も可能だ。外国人入居者向けの案内の多言語化も進める。
杉村取締役は「スマートロックを売るというよりも、付帯の運用支援に注力して管理業務の負担軽減に寄与したい」と話す。同社によると、2025年11月から26年10月末までで約60社への導入が進んだ。オーナーへの説明資料の提供や設置講習なども通じ、管理現場に定着する鍵の電子化を支援する。
全戸のキーレス化推進
約2800戸を管理するアクシオス・マネジメントは、事業拡大に向け、鍵の手配・管理などの業務を減らし、担当者1人あたりの管理可能戸数を増やすことが課題だった。2025年12月から一部物件で先行導入し、自社スタッフによる設置でのコスト抑制や、現地対応が削減された効果を実感。全管理物件への導入を進める。外国人入居者も多く、多言語マニュアルなどの運用支援も活用する。
(2026年11月16日3面に掲載予定)





