次世代の建築産業を研究活動する一般社団法人HEAD研究会・不動産マネジメントタスクフォース(不動産マネジメントTF:東京都千代田区)は、1月21日に『賃貸業界における高齢者問題を考える』シンポジウムを開催し、120人ほどが参加した。
約120人参加し真剣聴講
シンポジウムの内容は「どうすれば高齢者も安心して最後まで住めるのか」および「どうすれば不安なく部屋を貸せるのか」を主軸に構成。HEAD研究会委員長・橋本樹宜氏による開催のあいさつにはじまり、第1部では章司法書士事務所(東京都千代田区)の太田垣章子司法書士が講演。第2部では、太田垣司法書士と福岡の家主の赤尾宣幸オーナー、ブログ『賃貸管理クレーム日記』の著者のベルデホーム(埼玉県久喜市)の熊切伸英統括部長の3人による座談会が行われた。第3部では第2部登壇者らが、回収した参加者アンケートの質問に回答するディスカッションを行った。
第1部の太田垣代表の講演では、最初に家主・不動産会社を対象にした高齢者の入居に関するアンケート結果をもとに、家主と不動産会社の間で積極性にギャップがあることを解説。高齢者と直接対応する不動産会社のほうが家主より孤独死現場に遭遇しやすいなどを理由に慎重姿勢であることを話した。
また2300件以上の明け渡し訴訟に携わった自身の経験から、次の入居先が見つからないことを理由に長期滞納した高齢者へ強制執行が下りなかったケースや、相続人からの協力が得にくくなったエピソードを披露。賃貸借契約が相続されることの弊害や、終身建物賃貸借制度・住宅セーフティネット法の利用ハードルが高いことを指摘し、社会と法制度の間に隔たりがあると解説した。