住宅・管理会社がベンチャーと協業推進
その他|2016年11月14日
管理戸数や物件情報生かした新規事業目指す
自社が持つ、賃貸管理や不動産のデータを生かすため、ベンチャー企業と新規ビジネスを企画する取り組みが増えている。
近年、AI(人工知能)、IoT(Internet of Things、モノのインターネット化)、不動産テックの登場で、自社の膨大な不動産情報などを活用する術が急スピードで求められており、時代に乗り遅れまいと大手も必死だ。
積水ハウス(大阪市)は7日、Creww(クルー:東京都目黒区)と共同でスタートアップ企業との新規事業創造を目指すプログラム『SEKISUI HOUSE ACCERATOR 2016』を実施すると発表した。
積水ハウスが蓄積した建築戸数230万戸の住宅や賃貸住宅管理57万戸の情報やノウハウなどを活用したビジネスのアイデアをベンチャー企業から募る。
オンライン上で協業案の募集からブラッシュアップまで行うことで、早期の事業化を進める。
積水ハウスは「以前からもベンチャーと共同事業などを行ってきたが、外部に広く告知するのは初めて。賃貸住宅においても入居者向けのサービスなど面白いアイデアが生まれてくることを期待する」と語った。
これまでに共同研究として介護ロボットの実用化に至っている。
すでに老人施設で利用されており、在宅の介護が進む一般住宅での利用を目指した開発を進めているところだ。
10月24日には、穴吹ハウジングサービス(香川県高松市)も同様のプログラムをスタートしている。
プログラムを実施する背景として、不動産管理事業においても顧客のニーズの高まりや法整備が進み従来のサービスモデルでは各社の差別化が難しくなったことがあげられるという。
担当者は「スタートアップ企業の持つ発想力や行動力を学び、お客様に価値のある提案ができる社員の育成にもつなげていきたい」という。
アットホーム(東京都大田区)は6月にベンチャー企業との協業案の募集を行った。
同社の持つ5万3000社の不動産ネットワークや70万件以上の物件情報を事業に生かした提案が多いという。
3~4案は検討段階にある。
アットホームは「これまでチャットアプリや設備保証サービスなど実用に至った事例がある。
スピーディーに新規事業が出せる良さがある」と話す。
一方、大手とベンチャーの温度差により、実現に至らないケースもあるようだ。
大京(東京都渋谷区)は14年にスタートアップ企業とのビジネス立ち上げを進めたが、結局成立しなかった。
「サービス提供へのスピード感が違った」と組織の大きさが問題になってくる場合もある。