収益要不動産の投資利回りが、この1年間で大きく跳ね上がったことが、収益要不動産の情報サイト「楽待」を運営するファーストロジック(東京都港区)が発表した2009年1月から3月期の市場動向データで明らかになった。特に、RC造の一棟マンションと区分所有物件は、販売価格下落に伴う利回りの上昇が目立つ結果となった。
投資用区分所有物件は、昨年同期の新規登録物件ベースの利回りが9・47%だったのに対し、今年は11・20%と、1・73%も上昇した。販売価格が大幅に下落しているため。昨年1月から3月の平均価格2326万円だったのに対し、今年は1960万円。4月はさらに1153万円まで下落した。この状況を投資家側もよく理解しているのか、利回りベースで見た時に、登録物件と問い合わせの乖離が小さくなっている。
一方、RC造一棟マンションは、昨年秋以降3億円から3億1000万円程度で高止まりしている。これは、不動産ファンドなどが保有する大型物件が市場に出てきたために単価が大きくなったものと考えられる。同時に利回りが上昇してきたのは、「各物件が個人投資家向けにディスカウントしたため」と同社は推測する。
投資市場からは「期末セールが一服し、新年度明けは売り物が枯れている」との声も聞こえてくる。また、都心部の賃料下落現象も利回りに影響を与えそうだ。価格下落一辺倒だった投資市場は、調整期間に入っているといえそうだ。