西成で起こる不動産バブル
その他|2020年02月21日
治安の悪い西成エリアが、ここ数年、宿泊事業で活気づいている。海外の投資家を中心に買いが入り、特区民泊として活用。観光業による地域活性化の事例として現状を取材した。
外国人観光客に湧く
日雇いの街投資で脚光
大阪市西成区は、JR大阪環状線「新今宮」駅の近くに位置している。中でも、北部の日雇い労働者や生活保護受給者が多く生活する、あいりん地区は、いわゆる「ドヤ街」として知られる。その西成区で、宿泊施設としての需要が急増。インバウンド需要の取り込みを狙って、日本人のみならず海外の投資家からの問い合わせも多い。
大阪市の調査によると、各区別の簡易宿所・特区民泊・新法民泊の適応施設数の合計で西成区は956室。全24区の中でも中央区、浪速区に続く3番目の多さとなる。人気の理由の一つに、交通の利便性があげられる。観光地のなんば、天王寺エリアに乗り換えなしでアクセスできることや、外国人観光客の玄関口となっている関西国際空港からも、南海電鉄空港急行で「天下茶屋」駅まで約30分。また、キタエリアの中心地である梅田や京都府にまで気軽に足を延ばせるなど、関西観光を楽しむための拠点として、この上ない条件が揃う。特区民泊として運用すれば、ひと月15万円ほどの利益が見込めるという。一方、西成区特有のイメージにより、賃貸物件としての需要は低い。生活保護受給者の支給額に合わせた賃料設定となり、4万円が平均相場だ。こうした背景から、宿泊事業への転用が活発化している。
4年前から西成区で買い取り再販事業を始めた不動産会社は、築古の戸建て物件を購入し、民泊仕様にリノベーション。一棟貸しに仕上げた状態で売りに出すと、強気の値段設定でも半年後には全て契約に至った。これまで7棟を売却し、計6000万円の利益となった。買い手の9割は中国人の投資家だ。「当時からアジア圏の観光客は多く、そこに目をつけた投資家から人気が高かった」と担当者。開業や稼働の期間を設けず、物件だけの状態での売却は、自国で運営会社を抱える海外の投資家に向けた戦略だ。物件紹介の動画がSNSなどで拡散するなど、情報が海外に広まったという。





