国土交通省が11月30日に発表した建築着工統計によると、貸家の2020年10月の着工戸数は26043戸で前年同月比11.5%減。26カ月連続マイナスとなった。20年1~10月は前年同期比10.5%減。仮に11、12月が同様のマイナス幅で推移すると、リーマン・ショックや東日本大震災の影響を受けた10~12年に次ぐ低い水準となる可能性がある。この推移をどう解釈すべきか。東京カンテイ(東京都品川区)の井出武上席主任研究員に聞いた。
8年ぶりの低水準の可能性
―2020年の貸家の着工件数は、8年ぶりの低水準になりそうですが、どうみていますか。
着工数の減少ということでみると施主にとっては市場や経済の先行きが分からないことが大きいでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大の影響による緊急事態宣言で移動制限のかかった2カ月間もありました。現在は第3波に襲われ、ワクチンも今後どれだけ普及していくか不透明です。物件を購入しようという意識になりにくいと思います。