企業に非対面・非接触の対応が求められる中で、弁護士ドットコム(東京都港区)が運営する電子契約サービ『クラウドサイン』の売り上げが好調だ。導入社数は2020年同時期から約倍増の14万社を突破した。
テレワーク普及に伴い受注拡大
「不動産業界でも著名な大手企業が導入を決めるなど、ほぼ倍増のペースで導入数が伸びている。これまで様子見していた企業でも、コロナ禍によって顧客と従業員の安全・安心を守らなければならないという責任が高まった中で導入に踏み切るところが多い」と語るのは、同社クラウドサイン事業部長の橘大地取締役だ。導入数の伸びはテレワーク普及の伸び率とほぼ比例している。都市と地方の地域差があるというが、「今は外食の際にも電子決済が使えるかどうかで店を決める消費者が増えている。消費者のニーズが高まってくれば、電子契約も必然的に全国で浸透するはずだ」と橘取締役は今後の見立てを語る。
一方で今後も事業を成長させていくための課題としては、現在社会実験が行われている『重要事項説明書等の電磁的方法による交付』の本格運用をはじめとした法改正を一番に挙げる。その上で「法律が変わっても、それを動かすには各業界で新しい商慣習やガイドラインを作るけん引役の存在が必要だ。賃貸住宅業界には全管協や日管協のような団体があるので、ぜひそういう組織と一緒に新しい商慣習をつくる取り組みをサポートしていきたい」と語り、不動産業界とのつながりを一層強めていく構えだ。
21年中には新機能としてマイナンバーカードに内蔵された電子証明書を活用した電子署名機能などを追加。国内ブランドならではのサービスで競合との差別化を図る。また、導入事例などの共有の場として導入企業間のユーザー会を定期的に開催しており、「近いうちに不動産業界向けの会も企画していきたい」と語った。
弁護士ドットコム
東京都港区
橘大地取締役(36)
(5月24日8面に掲載)