仲介・管理会社ノート リフォーム編⑨

札幌オーナーズ, ビルコ, 南光不動産

企業|2021年08月19日

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 リフォーム事業に各社の特徴はあるのか。取材した3社では、アプリによる経年劣化箇所の家主への報告、入居者ニーズの高い設備を把握するための独自調査、ホームページへの修理受付フォームの設置など、異なる取り組みが見られた。

札幌オーナーズ、自社開発の巡回アプリで不備報告

写真を添付し工事の受注が伸長

 管理戸数3953戸の札幌オーナーズ(北海道札幌市)では、2019年に自社開発した物件巡回アプリで撮影した各物件の壊れやサビの写真を毎月の報告書に添付。経年劣化を目の当たりにしたオーナーから工事の依頼を受けるようになった。

 同社の売上高5億600万円のうち、賃貸管理が50%、売買仲介が18%、建築請負が17%、賃貸仲介が15%を占める。全従業員44人のうち、工事に関わる従業員は12人。工事体制は、元請けとしてオーナーから工事を受注し、各協力会社に依頼する。

 自社開発した物件巡回アプリの活用により19年度の工事売り上げは前年比33%アップした。巡回・清掃専任スタッフ7人に支給した「iPad(アイパッド)」で巡回時に写真の撮影から登録とコメント追加までを現地で行う。帰社後はアプリ内の印刷ボタンを押すだけで整理された資料として出力が完了する。この資料をオーナーへの月次報告書に添付する流れだ。

 また、同アプリ内では提案工事の進ちょくも管理でき、見積もりを出したままになっている案件などが見える化され、工事受注の取りこぼしを防いでいる。

 管理課の竹内敏幸課長は「毎月の壊れなどの報告の積み重ねで、オーナー側も建物を大事にする考え方が根付いてきた印象。1カ所をリフォームすると、他の箇所も気になる心理が働くようでオーナー側から点検の依頼が増えた」と語る。

 20年7~8月には全管理物件を対象に、業務委託で建物診断を行い、その結果を工事提案に活用している。

 

ビルコ、設備交換を年1000件受注

入居者の在宅時間の増加影響

 JR「新横浜」駅周辺を中心に1068戸を管理するビルコ(神奈川県横浜市)は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で入居者の在宅時間が延長したことで、設備交換工事が増加し、工事の受注件数は1000件となった。

 売上高は非開示。事業構成は賃貸管理が40%、賃貸仲介20%、売買仲介20%、リフォーム20%。従業員数は11人で、大規模修繕と原状回復工事は物件の担当者制で、設備工事には全員が対応する。

ビルコの会社情報まとめ

 リフォーム事業の売上高は6000万円。年間の原状回復工事は180件、設備交換工事は740件、リフォーム・リノベーションが50件、大規模修繕が30件。

 コロナ禍で入居者の在宅時間が長くなったことにより設備交換工事の依頼が増加し、全体を押し上げた。20年7月からホームページに入居者向けの「修理受け付けフォーム」を設置し、故障した設備の写真を送ってもらう。管理担当者が現場を確認する手間を省けるようになったことで設備交換までの対応時間の迅速化につなげている。

 管理物件は築古物件が多いため、原状回復工事に合わせて、風呂場と台所の蛇口をサーモ水栓やシングルレバー水栓への交換や温水洗浄便座、テレビモニターホンの導入を提案し、入居率の改善を図っている。

 岩田一清社長は「投資回収に時間がかかりすぎないように費用対効果を考えた改修を提案している。20万~30万円程度で工事を提案することが多い。約100社の施工会社と取引しているが、各社の得意分野を見極めたうえで最適な内容を提案している」と語る。

ビルコ 岩田一清社長の写真

ビルコ
神奈川県横浜市
岩田一清社長(40)

 

 

南光不動産、独自調査の結果を改修工事に活用

「浴槽不要」多数でシャワールーム提案

 管理戸数約1600戸の南光不動産(大阪府東大阪市)では、リフォーム時にシャワールームの提案を行っている。3点ユニットバスをトイレと浴室それぞれに分離する際に、施工費用を抑える手段として18年からオーナーへ提案を開始。入居者への独自アンケートの結果をもとに、現在までに10件の導入事例がある。

 同社の売り上げは、年間約1億5000万円で、そのうち賃貸管理業が43%、賃貸仲介業が40%、付帯事業が23%と続く。年間の受注実績として、原状回復工事が約500件、大規模改修工事が年間2~3件。

南光不動産の会社情報まとめ

 同社の賃貸業におけるターゲット層は学生がメーン。実際に、年間賃貸仲介件数約680件のうち、8~9割を学生が占める。管理物件への自社付け率は全体の7割だ。

 築年数20~30年以上の物件が多く、3点ユニットバス式は、単身者向けの管理物件のうち7~8割にも及ぶ。不動産事業部の越前友範部長は「3点ユニットバスは学生に受けが悪く、入居付けできずに空室が長期化することが多い」と話す。入居付けのハードルを下げるため、原状回復工事のタイミングでトイレと浴室の分割工事を提案する。通常、トイレを取り外し浴室の隣に配置する施工を60万~70万円ほどかけて行うが、配管の位置に問題がある場合は工事費用が120万~130万円ほどかかってしまう。そういった物件のオーナーを対象に、シャワールームの提案を行うという。シャワールームへの切り替え工事費用は100万円前後のため、20万~30万円程度費用が抑えられる。

 同社は学生仲介が主力事業のため繁忙期を逃すと10カ月以上空室となる場合も多く、3点ユニットバス式では特に空室が多かった。だがシャワールームへ切り替えたことで繁忙期間内での入居付けが可能になった。

 オーナー提案の際の説得材料として管理物件への入居者を対象に「普段浴槽に浸かるかどうか」を問う独自アンケートを実施した。有効回答数は約130人で、「毎日浸かる」という人はほとんどいなかったという。実際、導入した10戸では満室が続いており、シャワールームを理由にした退去はない。

 

※本紙面において、管理会社とオーナーが工事契約を結ぶ場合は「元請け」、管理会社以外の工事会社とオーナーが工事契約を結ぶ場合は「あっせん」と記載しています。

(8月16日6面に掲載)

おすすめ記事▶『仲介・管理会社ノート リフォーム編⑧』

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