美ささ不動産、現地内見の需要高く非対面化進まず【賃貸仲介会社の経営分析】

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管理・仲介業|2022年01月27日

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美ささ不動産の店舗外観

 電子契約全面解禁前の最後の繁忙期が到来した。賃貸借契約は対面で紙という会社がほとんどだが、入居や家財保険の申し込みなど、業務の一部をオンラインへ移行する動きがある。4社の取り組みを紹介する。

美ささ不動産、契約は対面・紙100%

案内時のウェブ接客に注力

 東京都八王子市を中心に年間約486件の賃貸仲介を行う美ささ不動産(東京都八王子市)では、新型コロナウイルスの感染流行をきっかけにオンラインなどによる非対面接客のための環境整備を行ったが、来店顧客が多く、現在ほぼ100%対面での接客を行っている。

 同社の会社の売り上げは非開示、事業別売り上げ構成比率は、賃貸管理50%、契約更新料を含むその他30%、賃貸仲介15%、売買仲介5%。全社員17人のうち、賃貸仲介の営業スタッフは4人、パート・アルバイトが2人の計6人だ。

美ささ不動産の会社情報まとめ

 商圏は八王子市内全域で、仲介店舗は1店舗。物件は、ワンルームや1Kが50%、1LDK~2LDKなどが50%。仲介する顧客は単身者65%、カップルやファミリーが35%だという。商圏に大学などが多数立地していることもあり、単身者は社会人より学生の方が多い印象だという。

 賃貸仲介事業の売り上げは非開示、内訳として仲介手数料が30%、AD(広告費)が70%。仲介手数料は家賃1カ月分。1件当たりの平均仲介手数料は5万7000~6万円だ。仲介営業担当1人あたりの平均契約数は年間約80件。平均成約単価は10万円だ。成約件数のうち、一般媒介が100%となっている。

 同社の内見後の申し込みは紙がほぼ100%だという。家賃債務保証会社は全保連(東京都新宿区)と日本セーフティー(東京都港区)を利用している。審査申込書のやりとりはファクスで行っている。

 重要事項説明と賃貸借契約は同日に実施し、対面が約10割。新型コロナウイルスの流行下でオンライン内見やIT重説に対応した環境整備を行ったが、来店を望む顧客は減らなかったという。

 賃貸仲介部の田穂祐貴子氏は「内見に関しても自分の目で見て決めたいという意見が多く、非対面化がなかなか浸透しない。IT重説を案内するものの、実際に行ったのは数件だ」と語る。

 申し込みから契約までの所要時間は約1週間から10日だ。鍵の受け渡しは100%店頭での対面で行っている。

 家財保険は日本共済(東京都千代田区)を利用。保険会社への申し込みなどは契約者自身がネットで申し込みを行う。鍵の受け渡しは店舗にて対面で行っている。

 「今後、ZoomやLINEを使って内見時のウェブ接客に注力していきたい。また、反響からの来店率を上げるため問い合わせ対応の専任スタッフ1人の配置を始める予定。顧客満足度向上を目指し、22年の繁忙期に備えている」(田穂氏)

 

山口不動産、紙での申し込みが9割占める

審査後はグループで家賃債務保証

 年間140件を賃貸仲介する山口不動産(神奈川県大和市)は、エクセルで入居者情報を管理し、家賃債務保証会社にファクスを送り入居審査を行っている。各社が提供する既存の電子申し込みシステムには、同社が入居時に記入を必須とする項目を満たさないものも多いため、今後も紙での申し込み対応を継続する方針だ。

 売上高(非開示)のうち事業構成比は、賃貸管理が30%、コインパーキングが25%、賃貸仲介が10%を占める。神奈川県大和市にある本社で賃貸仲介を行い、従業員は全10人。そのうち2人が賃貸仲介に従事する。

山口不動産の会社情報まとめ

 賃貸仲介の売り上げ(非開示)は、家賃1カ月分の仲介手数料が収入源となる。入居者が加入する保険会社の代理手数料などは別の売り上げとしている。成約時のAD (広告費)に関しては、大手の管理会社からは出るものの、地元の管理会社からは受け取っていないという。

 取り扱う賃貸住宅の家賃帯は、専有面積25㎡程度の1DK以下で4万~5万円、40㎡程度の2DK以上で6万5000円ほど。成約単価は平均7万円となる。

 営業スタッフ1人あたりの賃貸仲介件数は年間70件。自社でリーシングした物件は専任媒介と一般媒介で半々になる。

 入居申し込みの実施比率は紙が9割を占める。グループの家賃債務保証会社ヤマキ(同)では、オリコフォレントインシュア(東京都港区)と家賃支払委託契約を結んでおり、入居審査をファクスで対応している。

山口不動産の本社外観

山口不動産の本社外観

 電子申し込みは、大手管理会社の管理物件を仲介する際に利用する。入力エラーが出ると入居審査に進めないため、店舗にて、営業スタッフと確認しながら顧客が情報入力を行う。

 重要事項説明と賃貸借契約は2割をオンラインで実施している。ポータルサイトでIT重説の利用を促し、商圏に所在する厚木航空基地の自衛官や、相模女子大学、日本大学湘南キャンパスに通う学生など、遠方から引っ越してくる顧客を中心に対応。LINEやZoomのビデオ通話機能を活用している。

 山口紀彰社長は「電子契約が全面解禁となれば、契約書類の郵送が不要になり契約業務は楽になるだろう。申し込みに関しては、当社で必須としている連帯保証人の項目を設けていないフォーマットも多く、審査時の必要項目を満たさないため、今後も自社制作の紙で対応していく」と語る。

 申し込みから契約までの所要期間は平均2週間。鍵の受け渡しは入居日に店舗で行っている。

山口不動産 山口紀彰社長の写真

山口不動産
神奈川県大和市
山口紀彰社長(33)

 

(2022年1月24日6面・7面に掲載)

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