国土交通省は、1月18日、「建築基準法施行規則の一部を改正する省令(令和4年国土交通省令第4号)」などを公布。2021年4月に発生した東京都八王子市内の木造アパート階段崩落事故を受け、再発防止を目的とした法改正となる。同省令は、一部を除き4月1日から施行される。
木造屋外階段の防腐措置など明文化
同省令において、「設計時における防腐措置等の内容の明確化」「工事監理及び完了検査時における屋外階段の適切な照合・適合確認の確保」および「適切な維持管理の確保」からなる再発防止策が講じられた。なお、同内容は社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会における議論などを踏まえて検討された。
省令公布に加え、「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」の二つを策定。木造屋外階段などの防腐措置や支持方法についての内容を明確化し、適切な維持管理を行うことを目的とする。
木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドラインでは「防腐措置等及び維持管理の基本的な考え方」を定めた。①設計時に腐敗措置などの内容を明確化すること②工事監理および完了検査時における屋外階段の適切な照合・適合確認の確保③適切な維持管理の確保の三つの内容について取りまとめている。対象となるのは、2~5階建て程度の建築物に設置された屋外階段だ。
賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドラインの対象は、鉄筋コンクリート造など以外の賃貸共同住宅。同賃貸共同住宅が適切に施工されることに寄与する目的がある。
同ガイドラインには、工事監理者に求められる責任についてまとめられた。加えて、工事監理受託の際に取り扱う書面や取り交わす説明に関する基本的な考え方や具体例、留意事項なども記されている。
二つのガイドラインについて、それぞれ業界団体や特定行政庁に周知を行った。木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドラインについては、22年度内に写真を盛り込んだ事例集を作成し公表、再度の周知を予定。また、年に2回開催している建築物防災週間などの機会も周知の場として活用していきたいとする。
賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドラインについても、23年度には建築士向けの講習会を開催し、引き続きの周知を予定しているとした。
八王子市のアパートでは階段崩落事故により、入居者が死亡。同物件を施工した則武地所による施工不備が問題化し、同社の建築した他の物件全214件中、少なくとも37件で改修工事が行われた。残りの177件に関しても、点検を進めている。
(2022年2月7日1面に掲載)