人口流出が続く東京都大田区で、早期対策を施し入居率を維持しているのが、同区を中心に4747戸を管理するミノラス不動産(東京都大田区)だ。
入居率は、2020年1月が98.2%で21年1月が97.4%と減少したものの、22年1月は98.1%と回復傾向にある。
人員配置見直し22年成約件数過去最高か
その要因は、21年1月に行った人員配置の見直しだ。現在の市況をオーナーに的確に説明し、物件の募集条件の変更を依頼するために、ベテラン社員を配置。部署を跨いで稼働率を上げるためのシフトを敷いた。
ベテラン社員を長期空室の申し込み担当に配置し、オーナーへの条件交渉に時間を割いた。
効果として、成約件数は20年1月が48件、21年1月が50件、22件1月が52件と大きく変わらなかったが、繁忙期により多くの入居申し込みを獲得することができたという。
21年末から急増した新型コロナウイルスのオミクロン株の影響について、PM事業部OS課の伊藤勇樹課長は「問い合わせは、全体的に単身者向けの安価な物件が主体」と話す。
都内のコロナの感染者が1000人を超えたタイミングで、21年12月に申し込みがあった法人一棟借りの案件がキャンセルになるといった影響はあった。しかし、21年と比べると法人の動きは回復の兆しが見えるという。22年1月は好調で、入居申し込みの獲得件数は過去最高となる見込みだ。「21年と変わらない不況の中で、人員配置の見直しの効果を感じている」と伊藤課長は話す。
21年通年での大田区から他県への人口流出は1574人、都内の他エリアへの人口流出は567人。人口は2月1日時点で72万8040人と、21年2月1日時点と比べて4706人減少している。
同区は、羽田空港へのアクセスに優れ、賃貸住宅の入居者の多くを空港関係者が占めていた。しかし、20年は大手航空会社の採用中止も合わさり、法人利用の減少が直撃。同エリアの入居希望者が減少したことで、ライバル物件との競争が激化している。
(2022年2月21日15面に掲載)