総合商社の双日(東京都千代田区)と世界的な会社であるゴールドマン・サックスグループ(以下、GS)は、7月をめどに賃貸住宅を運用する新会社を設立する。資本金は17億円で、GSが75%、双日が25%を出資する。
双日、ゴールドマン・サックスが出資
双日のネットワークと企画力、GSの資金力を生かし、2022年度に運用規模300億円、23年度以降は年間400億円程度ずつ資産を拡大していく。
運用の対象とするのは、日本国内の賃貸住宅で、1棟ごとの資産規模は5億円以上。新耐震基準を満たす価値向上の余地のある物件を、運用会社とは別に物件保有を行う特定目的会社が取得。新会社は、双日グループのデベロッパーである双日新都市開発(東京都港区)に委託をしバリューアップをしたのち、運用していく。首都圏、大阪、名古屋に加え、県庁所在地と地方の政令指定都市の物件も対象とする。
ゴールドマン・サックス証券(東京都港区)、アセット・マネジメント部門の木下満マネージング・ディレクターは「GSは、1兆円相当の国内不動産を運用しているが、そのうち賃貸住宅は300億~500億円程度。安定した投資先である一方、1棟の規模が小さい物件が多く手間がかかる。実務のノウハウを持ち、分譲マンションなどで物件の企画力のある双日との提携が投資拡大の後押しになる」と語った。
双日新都市開発の水池祐社長は「当社で開発した約130億円規模の賃貸住宅9棟は準備会社に譲渡済みだ。保有する賃貸6棟もゆくゆくは新会社の準備会社に売却する予定」と話した。
今後は、再生可能エネルギーやヘルスケアといった、ESG(環境・社会・企業統治)投資を行う不動産ファンド設立などでの提携も視野に入れる。双日のリテール・コンシューマーサービス本部ライフプラットフォーム事業部の長谷浩司担当部長は「当社は太陽光パネルの供給にも強みがあり、住宅向けに提供するといった本業とのシナジー効果も見込めるだろう」とコメントした。
(2022年4月18日1面に掲載)