管理戸数1000戸のタキナミネクスト(東京都江戸川区)は、室内確認のシステムを活用することで解約手続きのトラブルを防止している。
劣化部分を入居者が事前申告
同社は東京都江戸川区、葛飾区、江東区、墨田区などを商圏としている。従業員数は20人。管理業務担当は3人で、うち2人が他業務と兼任して原復業務を行う。
2022年度の原復件数、および1件あたりの工事単価は非開示。平均施工期間はクロス張り替え、ルームクリーニングなら約10日間。原復は同社が元請けとなり、工事は施工会社に外注している。提携社数は非公開。
入居者は賃貸借契約時に「LINE」公式アカウントのQRコードで、入居者登録をする。
解約は、同社のLINE公式アカウント、または電話で受け付ける。解約受付日は連絡を受けた日としている。入居者から連絡が来たら、同社は解約フォームのURLをLINEで送付。入居者は必要事項を入力する。以前は郵送でのやりとりだったが、20年から公式アカウントを導入し、活用するようにした。
同社はApaman Network(アパマンネットワーク:東京都千代田区)がフランチャイズチェーン加盟店向けに提供する「室内チェッククラウド」というシステムを使って、退去時のトラブルを防止している。
賃貸借契約時に、同システムの入居者情報登録画面につながるQRコードを入居者に案内する。
入居者は、入居後すぐに室内の傷や汚れなどを見つけたら、画面の案内に従い、該当箇所を撮影し、システムで送る。これにより、原復費用の負担分で入居者とトラブルになることを防ぐことができる。
傷・劣化の事前申告により、立ち会いなしの退去の割合も増えている。以前はほぼすべての退去時にスタッフが立ち会っていた。現在では、約3割は立ち会いを行っていない。入居者が解約申し込みの時点で、自分で壊した箇所の写真をシステムで申告する割合も徐々に増えている。これにより、退去前に大まかな工事内容が把握でき、オーナーにも説明できる。
立ち会いなしの場合、退去後に同社のスタッフが部屋のチェックに行く。申告のない傷や汚れがあれば、追加で請求を行う。精算方法は口座振り込みだ。スタッフが立ち会う場合は、その場で入居者から承諾を得る。入居者への請求はLINEが中心。オーナーへは電話やメール、対面などで原復の負担分を説明する。
貸主、借主負担は、国土交通省のガイドラインに沿って決めている。
施工会社とのやりとりもLINEで行い、必要書類や工事現場の写真をやりとりする。
「今後も退去時の立ち会いなしの割合を増やしていきたい。原復業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化をより促進する」(松枝直之社長)
タキナミネクスト
東京都江戸川区
松枝直之社長(43)
(2023年6月19日6面に掲載)