賃貸経営管理資格CCIM(米国不動産投資顧問)の取得支援を行う一般社団法人CCIM JAPAN(シーシーアイエムジャパン:東京都港区)の新会長に、小谷真千子氏が就任した。同法人初の女性会長だ。小谷会長は「資格の取得者を増やしていきたい」と意気込む。
資格取得者数の増加に焦点
会員数265人 複数の受講要件
CCIM JAPANのトップに就いた小谷会長は、任期中のCCIM資格取得者数を伸ばしていく。取得者数は取得ハードルの高さから伸び悩みやすい傾向にある。セミナーの開催などで認知度を向上し、実現していく。
CPM(米国不動産経営管理士)が物件の管理・運営のスキルを可視化した資格であるのに対し、CCIMは投資用不動産の収益性を最大化するスキルを可視化したものだ。そのため、オーナーの資産コンサルティングで他社と差別化を図りたい管理会社が取得する場合が多い。
CCIMは、受講資格の要件が複数ある。毎年10月〜翌年3月までの6カ月間内に、4科目13日間の受講や科目試験に合格することが求められる。加えて、6月初旬に行われる2日間の最終試験のための受講、合格などが必要だ。そのことから、小谷会長は「取得難易度が高い資格だ」と話す。
受講対象者となるのは、一般社団法人IREM JAPAN(アイレムジャパン:同)が取得支援を行うCPMの保有者だ。加えて、不動産売買取引業務への従事期間や収益不動産の取り扱い金額に対する実績要件を満たす必要がある。
8月末時点で、日本国内のCCIM取得者数は265人。受講者は年間平均20人程度で、30〜60代の不動産事業者、特に経営者層が多いという。そのほか士業や投資家、不動産投資コンサルタントの受講も見られる。
「CCIM JAPANの公式セミナーは内容の理解を深めることが目的であるため、講師からわからない問題の解き方を教えてもらいながら公式テキストを進めていく。試験時には理解したうえで臨むことができるため、合格率自体はほぼ100%」
公式セミナーの様子
20年に資格取得 セミナー集客強化
小谷会長はミサワホーム(東京都新宿区)の社長秘書を経て、不動産コンサルティング会社に出向。不動産オークションの企画・立ち上げに携わった。不動産業界以外にも、広告代理店で広告営業や外資系保険会社で営業を行っていた。
2015年にライフコンサルティング(大阪市)を設立し、代表に就任。17年には、不動産営業は未経験でありながら、不動産エージェントフランチャイズチェーン(FC)「RE/MAX(リマックス)」に加盟。主に資産家を顧客にした不動産仲介に従事している。
CCIMの資格は20年に取得した。新型コロナウイルスの流行により、不動産取引などが一時停滞。空いた時間を、自身のスキル向上のため学びに充てた。
「CCIMの知識を持つことで、物件の良しあしについて顧客に対して理論的に説明することができる。『小谷さんに任せておけば大丈夫』と、顧客から信頼を得られることが醍醐味」
今回は、執行理事4人から推薦を受け、25年度のCCIM JAPANの会長に就いた。
会長任期は原則1年。「在任中に、CCIMの取得者数を50人増やす」という目標を掲げる。
小谷会長は「昨今は不動産投資に興味を持つ人が増えたように感じている。その分、不動産投資で失敗する人も少なくない。CCIMの普及は、不動産投資に関して正しい知識を提供できる人が増えることにつながる」と話す。
今後はセミナーを開催するなどして、CCIMの認知度向上や受講者数、ひいては取得者数の増加に注力する。
(國吉)
(2025年9月15日24面に掲載)




