企業研究vol.028 岸田真樹 社長

アールストア

インタビュー|2019年09月06日

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岸田 真樹 社長(35)

支店を増やし仲介件数1500件

不動産のセレクトショップを目指して立ち上げた不動産情報サイト『R-STORE(アールストア)』はスタートして今年で10年を迎えた。個性的な不動産を「リノベーション」「眺望が良い」「天井が高い」などの条件から検索ができ、「こだわりのある賃貸住宅に住みたい」という部屋探しユーザーのニーズをつかんできた。今回はこの10年の節目にアールストア(東京都品川区)を創業者の浅井佳氏から受け継いだ岸田真樹社長に話を聞いた。

新支店の契約が3倍

――御社はサイト開設以来、これまでの家賃、立地、築年数といった条件にとどまらない建物のポテンシャルで不動産を紹介することを徹底してきました。今、掲載物件はどのくらいですか。

 賃貸は約3万3000件を掲載しています。サイトのアクセス数はpv数が月300万pv、ユニークユーザー数が15万ほどです。年間賃貸仲介件数は1500件ほどです。

恒例の社員旅行の写真

――創業して10年たちますが、変えたことは何かありますか。

 当初はポテンシャルの高い不動産を集めればどのエリアかということはあまり関係ないと考え、サイトを運営してきましたが、近年その方針を見直しつつあります。きっかけは、2年前、JR中央線「荻窪」駅前に支店を出店したことでした。中央線沿線は人気が高い一方で、「目黒」駅近くにある当社事務所から案内をするのは効率が悪かったため新事務所を開設したのです。すると、中央線沿線の成約率が上がり、「荻窪」駅、「阿佐ヶ谷」駅、「高円寺」駅、「西荻窪」駅の東京・杉並区の仲介件数が3倍に増えたのです。うすうすは感じていたことだったのですが、人は特定地域への愛着というのが感情の奥にあるのだということが分かりました。

――中央線沿線に住みたい人はそのエリアに営業所があることで、さらにその不動産会社に対する安心感が増すのでしょうか。

 当社の場合、各営業マンがいいなと思った不動産をこれまでエリアは特に絞らず探し出し、サイトで紹介して仲介してきました。ただ、建物に引かれても、そのエリアについてはあまり詳しくないスタッフもいました。拠点を設けたことで、エリアの情報をチーム内で把握しやすくなり、お客さんに対しても説得力が増してきたのです。仲介件数も伸びたことで、改めて部屋探しではエリアの優先度が高いことが分かりました。

――確かに、中央線にこだわっている人は気になる物件が他の沿線にあったとしても、やはり中央線沿線にこだわる気持ちは分かります。

 価値観、美的センスへの共感は建物だけでなく、地域にもあるのです。この荻窪の成功体験をきっかけに営業担当はエリア制を採用することを今後の方針とし、顧客満足度を高めていきたいと考えています。

――支店は中央線の他に、大宮と福岡もあります。

 特にエリアを東京以外に拡大しようと考えて始めたわけではなく、大宮は元社員の転職先が、福岡は知り合いだったスタイルアンドデコの谷島香奈子社長が仲介を新規でやるという相談を受け、それぞれご縁があり、できました。フランチャイズのような形で運営してもらっています。今後、他の地域でもご縁があれば拡大したいと思います。

メルマガ会員と社員とが交流するオフ会を実施。見込み客開拓や人材採用の機会としている

求人サイトも開設

――不動産サイトの他に最近求人サイトも運営しているそうですね。

 『こんにちワーカー』というサイトを2018年11月に開設しました。当社として『RSTORE』の職業版というイメージです。これまで例えばレトロな物件の魅力を伝えてきましたが、この求人サイトでは中小企業のストレートな思いを伝えることに注力して企業に取材して紹介しています。

――なぜ、求人サイトを立ち上げたのですか。

 当社でも良い人材を採用したいという思いは常にあって、これまでも他の媒体を利用して求人してきましたが、ミスマッチもありました。それならミスマッチをなくす求人サイトを自分たちで作ってもいいのではないかと思ったのがきっかけです。自分たちが欲しいサイトということで、人にフォーカスした対談形式の記事であることと、中小企業が出稿しやすい広告費にこだわりました。

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