企業研究vol.040 木村光貴 社長

ユーミー ホールディングス

インタビュー|2019年12月06日

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ユーミー ホールディングス 木村光貴 社長(49)

グループ2社で1万7000戸管理

 湘南エリアの地域活性化を企業理念に掲げ、祖業の建設業を軸にグループ18社で総合不動産サービスを展開するユーミーホールディングス(神奈川県藤沢市)。グループで管理1万7000戸、年間賃貸仲介8500件の実績を持ち、さらに地域におけるシェアを高めたい考えだ。不動産の域を超え、カフェ運営や移住促進、人材サービスも手掛けており、「地域の活性なくして企業の存続はない」と語る木村社長を取材した。

仲介店舗と連携で年に1000戸受託

――湘南らいふ管理が管理受託を伸ばしています。

 5年ほど前に設立した湘南らいふ管理の管理戸数は現在約5000戸で、平均すると年間1000戸ほど新規受託をしています。当HDにはもともと、丸山工務所グループで建設した新築物件を管理するユーミーClass(クラス)があり、年間200戸のペースで管理を増やしてきました。湘南らいふ管理は、他社建築の建物を受託するのが役割で、湘南エリアを中心に25店舗の仲介店舗を展開しているユーミーネットグループの子会社として、リーシングと連携して管理を伸ばしてきました。そのため湘南らいふ管理では、管理手数料の一部が仲介店舗の売り上げになる仕組みになっています。湘南らいふ管理は主に集金代行を担い、家賃の2%を手数料としています。賃貸仲介スタッフが管理手数料を5%で受託すると、残りの3%が仲介店舗の売り上げになり、募集や建物管理などを担当することになります。新築だけでなく、既存物件の管理受託もあるため、今後は建て替えの受注につなげていくことが課題です。リフォームや大規模修繕などはすでに実績がありますが、もっとリレーションを密にとって建築業につなげたい。さらにオーナー担当の社員には、これまで以上に家主の賃貸経営をサポートできるよう成長してもらいたいですね。目の前の補修や募集だけでなく、「あと何年、この建物で賃貸経営を続けたいか」「どのような資産承継をしたいのか」、家主としっかり話せる存在になることが重要です。そのうえで、賃貸住宅を含めたあらゆる不動産の困りごとをグループで解決していく連携が必要になってきます。

――地主を顧客とするユーミーClassの管理業では4年ほど前からエリア制を導入しています。

 商圏を5つのエリアに分け、1拠点5〜8人体制で約2000戸を管理し家主や入居者の対応をしています。エリアを細かく分けることで、現状を分析しやすくし、責任の所在を明確にでき、経営判断や指示が迅速化しました。実際にエリア制を導入し、小田原地区で入居率が98%に達するなど成果が上がりつつあります。将来的にはさらに細分化し1拠点1000戸程度を管理する体制にしたいです。

 仲介事業でも今年9月から3つのエリアに分けた運営体制に移行しました。平塚エリアはすでに売買仲介の専門チームを立ち上げたりと新たな動きがあります。ユーミーネットの仲介営業スタッフは管理業の一部を担うこともあり、これまでIT重説やクレジットカード決済による業務効率化に積極的に取り組んできました。現在、社会実験中である契約書の電子交付でも、すでに数件の実績があるようです。グループとしてはほかにもデスクトップ作業をプログラミングで自動化するRPAも使っています。ただ高度なIT技術を導入するよりも、まず普段使用しているエクセルやG suite(ジースイート、Googleが提供するビジネスツール)を社員が使いこなせることが重要だと思います。

ユーミーネットが運営する藤沢店。同社はIT重説に積極的に取り組んでいる。

ユーミーネットが運営する藤沢店。同社はIT重説に積極的に取り組んでいる。

――不動産特定共同事業にも取り組んでいます。

 湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムが不動産特定事業の認可を受け、一口100万円から購入できる商品を販売、運用しています。10月には、節税対策にも有効な任意組合型の不動産小口化商品として第一号の『まちシェア』を発売。対象となる物件は、入居者同士や地域との交流を育む『まちとシェアする賃貸住宅nezasuhouse(ネザスハウス)』シリーズの『鵠ノ杜舎・楓』です。『nezasu house』は入居者と地域住民、不動産会社や建築事業者がつながることで地域の価値を高める賃貸住宅として開発・運営をしてきました。小口化販売によって、出資者にも地域活性化の当事者として関わりを持ってもらい、社会性ある不動産投資のあり方を目指していきたいと考えています。

不特法で小口化販売した『鵠ノ杜舎』

不特法で小口化販売した『鵠ノ杜舎』

 湘南エリアの活性化をより図るため、主力の管理・仲介業で地域のシェアをもっと高めていくことも目標の一つです。まずは現在1万7000戸の管理戸数を2万戸まで増やしたいと思っています。

従業員持ち株会で発行株保有

 ユーミーホールディングスでは、新しいことへのチャレンジを大事にしており、たとえ失敗したとしても、挑戦したことを評価するようにしている。「従業員一人一人の成長が企業の成長を支えていると確信し、18社あるグループ会社も自律性を重んじている」と木村社長は語る。同社は不動産会社には珍しく発行株のすべてを従業員持ち株会で保有している。会社は公器であるため、経営者だけでなく、従業員のため、地域のために存続する会社でなければという思いが込められている。

 社員が働きやすい職場環境も重要で、11月には社員旅行に行った。男性はタイのバンコクへ、女性は石川県金沢市へと行き先は別々だが、社員のニーズに柔軟に対応する姿勢が見える。

男性陣はタイでゴルフを楽しんだ

男性陣はタイでゴルフを楽しんだ

会社概要

社名 : ユーミーホールディングス

住所 : 神奈川県藤沢市藤沢223-2 ユーミー藤沢センタービル

資本金 : 1000万円(HD単体)

設立 : 1970年(丸山工務所)

従業員数 : 447人(グループ合算)

管理戸数 : 1万7000戸(グループ合算)

会社メモ

1970年丸山工務所が事業を開始した。その後、管理・仲介をはじめとする不動産のワンストップ化を目指して、資産コンサルティング、高齢者施設建設・運用、公共事業、引越しなど事業の多角化を進めてきた。

社長メモ

木村光貴社長 1970年福岡県生まれ、1995年アパマンショップ1号店である福岡井尻店設立に参画。2009年にユーミーネットに入社し、取締役専務に就任後、同社社長に。2015年から現職。

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