省エネルギーが可能なZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)賃貸マンションの開発事業を拡大するデベロッパーが増えている。
年4棟以上の計画も
三菱地所レジデンス(東京都千代田区)は2月1日、同社では初となる関西エリアでのZEH賃貸マンションを着工した。太陽光発電パネルを設置し、自家発電した電力を共用部で活用する。
同物件は大阪メトロ御堂筋線昭和町駅から徒歩約7分の場所に位置する。全72戸のRC造で12階建てだ。専有部は24.31~50.86㎡の1K~2LDKを予定している。家賃は未定。
同物件は断熱材を使用するほか、太陽光発電パネルを設置し省エネ仕様とする。エントランスホールや共用部にある入居者専用のコワーキングスペースで使用する電力を自家発電で賄う。
昭和町駅の周辺はスーパーや病院があり、生活利便性が高く、多くの企業がオフィスを構える梅田駅や新大阪駅、天王寺駅などのターミナル駅と直通だ。そのため、駅周辺の企業に勤める単身者を中心に、カップル、ファミリー層の入居を想定している。
土地の取得、建築はENEOS(エネオス)不動産(神奈川県横浜市)が担う。
同社は今後、京阪神を中心に年4~5棟のZEH仕様の賃貸・分譲マンションを開発していく。
収益用一棟マンションの開発・販売を手がける明豊エンタープライズ(東京都目黒区)は、2月10日付けで「ZEHデベロッパー登録制度」の認定を受けた。断熱性能の高いZEH仕様のマンションを、年1棟のペースで開発する。
ZEHデベロッパー登録制度とは、経済産業省が主導する住宅の省エネ化促進の取り組みだ。認定は、経産省とタッグを組む一般社団法人環境共同イニシアチブ(東京都中央区)が行う。ZEHマンションの開発目標の設定や、ホームページなどでの公表が認定要件となる。認定後、環境共同イニシアチブが公募するZEHマンション開発のデベロッパーに選ばれ、公募内容通りのZEHマンションを建築した場合に補助金が支給される。
同社は断熱性の高い壁式構造でのマンション開発を進める。壁式構造とは、柱や梁を用いずにコンクリートを再生利用可能な型枠用合板に流し込み強度を保つ構造のこと。断熱性を高めることで冷房や暖房などの電力消費量抑制を狙う。
事業企画室の杉本圭司室長は「柱や梁を使わないため、入居者にとって家具の配置がしやすい点が訴求要素となる」と話す。
2030年までの3期内それぞれで開発を目指す。
(2023年3月6日2面に掲載)