財団法人不動産流通近代化センター(東京都千代田区)は、高齢者向け賃貸住宅に関する調査結果をまとめた。入居者層の主力は70歳代以上の女性であり、適切な生活支援サービス、医療・介護のバックアップが必要、など最近の傾向と今後の課題を指摘した。報告書の全文を同センターのホームページに掲載する予定。
全国の高専賃、高優賃、住宅型有料老人ホーム、高齢者居住に積極的に取り組んでいる賃貸住宅など合計100棟の事例調査を実施し、マクロ的な観点のマーケット分析とあわせて「高齢者向け賃貸住宅事業の新たな流れ、方向性について」と題したレポートにまとめた。
調査対象となった住宅の平均戸数は43戸、入居者の平均年齢は79・0歳で、男女比率は男性3割弱に対して女性は7割強。入居の理由としては「介護状態になった時の不安がある」「単身生活での安全性、利便性を確保したい」「体力が落ち、家の管理が大変になってきた」などの声があったという。
「健常者向けの高専賃は入居者募集が難しいなど現状では稼働率を高めるのが困難なことが多い。また、調査の中では『賃貸業界は60代の人が求めている住宅を提供していない』などの指摘もあった」(研究部 東登次長)
センターでは、高齢者向け賃貸住宅事業は入口の段階にあり、団塊の世代の女性が75歳以上になる2025年のピークに向けて拡大していく市場と結論付けている。