管理物件の解約率、10%改善【顧客満足度を高める入居者対応支援サービス】

日本エイジェント,ヴァンガードスミス,リログループ,リロクリエイト,スマサポ,シティ・ハウジング

商品|2023年09月18日

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 管理物件において、高い入居率を維持するためにも入居者へのきめ細かい対応は欠かせない。本特集では、入居者対応力の向上につながるサービスを紹介する。

対面・チャットの両輪で即解決

ノウハウを共有 加盟者同士で評価

 愛媛県内を中心に約1万6500戸を管理する日本エイジェント(愛媛県松山市)は、入居者対応のノウハウを管理会社間で共有することを目的にしたフランチャイズチェーン(FC)の「レスQセンターネットワーク」を展開している。

 2006年に入居者対応の専門部署として社内に「レスQセンター」を設置。入居者からの問い合わせを「クレーム」ではなく「お困りごと」と捉え、人助けの理念を持って、物件の軽微な修理や騒音への対応などを積極的に行ってきた。10人の現場スタッフのほか、5人体制のサポートチームが「LINE」でアドバイスを行い、入居者による自己解決を促している。年間の対応件数は1万6000件に上る。

 FC本部として加盟店の募集を開始したのは18年1月。23年8月末時点で20社・150人が加盟しており、日々情報交換を行っている。

レスQセンターのメンバー集合写真

レスQセンターのメンバー(日本エイジェント)

 新たに加盟する会社にはチャットツールや業務支援システムの提供のほか、日本エイジェントのネットワーク本部のスタッフが業務分析を行い、改善計画を立てる。入居者対応への考え方、社員教育や情報共有の仕組みの有無、顧客への対応の方法など五つの項目に分けて、実務体制やスタッフの心構えを確認。各項目における問題点や目標を議論し、課題設定を行う。

 入居者対応業務の改善を図ることで得られる効果は主に三つある。一つ目は、入居者の満足度向上により管理物件の解約率改善が見込めることだ。日本エイジェントでは、レスQセンター設立前の2000年と比較して、管理サービスへの不満を理由にした退去が約30%も低下、年間の管理物件の解約率は25.3%から15.6%まで改善している。

 二つ目は、業務に従事するスタッフの中にやりがいが生まれること。樋口孝幸常務は「入居者対応業務は社内での注目度が低く、属人的になりがちだ。ネットワーク化によりノウハウが共有されることで品質が向上する。加えて、互いの仕事を評価し合うことでモチベーションアップにもつながっている」と話す。

 三つ目として、サービスに会費を設定することによるストック収益化が挙げられる。

102万人が会員登録 近隣トラブル収束

 近隣トラブルの解決支援事業を行うヴァンガードスミス(東京都港区)は15年より、入居者同士のトラブルの解決を支援するサービス「mamorocca(マモロッカ)」を提供している。

 管理会社に代わり、騒音などの相談の受け付けから収束まで代行する。元警察官である同社の相談員が、第三者の視点で中立に事実確認し、相談者と当事者に解決に向けたアドバイスを行う。

相談員が対応している様子画像

相談員が対応している様子(ヴァンガードスミス)

 当事者から事実確認のヒアリングを行い、必要に応じて現場を訪問し、直接是正を促す。相談者の感情と怒りの段階によって対応を変える「感情アプローチ」と呼ばれる手法を確立。騒音問題における双方へのアドバイスや、迷惑行為を行う入居者に対しての直接注意などを行い、2万件を超える近隣トラブルを収束した実績を持つ。

 元警察官である田中慶太社長が、事件化する前にトラブルを解決する仕組みをつくろうと考え、同サービスを開発した。田中社長は「開始当初は、不動産会社から大きなトラブルに発展した案件は戻されるのではないかと懸念する声もあったが、今まで一度も戻していない。従業員の心理的負担や業務効率化を考え導入する企業が増えてきた」と語る。実際に導入している不動産会社では、入居者対応を行う人員と時間が削減できたという声や、トラブルの早期収束により相談件数が減ったという声がある。

 利用料金は主に月額制で、会社の規模や案件発生率によって異なる。管理会社負担での利用が多い。23年8月末時点で約570社が導入しており、利用登録者は102万人以上。家賃債務保証や通信事業を行う企業とも提携し、個人向けにもサービスを展開している。

駆け付けサービス 個別に運用構築

 リログループ(東京都新宿区)の完全子会社であるリロクリエイト(同)は、約900社に対して、コールセンターや駆け付けサービスを提供している。提携する工事会社は約500社に上る。

 管理会社ごとに切り分けたい業務範囲や管理物件の特徴も異なるため、取引先ごとにマニュアルを作成し、コールセンターの運用体制を構築。管理会社の業務に即したオペレーションを行う。

 電話以外の入居者からの問い合わせへの対応にも力を入れている。例えば、入居者向けアプリやリロクリエイトが用意するウェブフォームからの問い合わせなどもリロクリエイト側で1次対応を行うことが可能だ。

 限られた人員の中で、いかに管理受託営業の時間を捻出するかという課題を持った比較的小規模の管理会社からの相談が増えている。

 東日本営業ユニットの齋藤千裕ユニットマネージャーは「駆け付けサービスを利用せずとも、入居者自身が未然に設備故障を防止できるような情報提供ができると、入居者満足度の向上にもつながると考える。設備トラブルの解決方法を紹介する動画を制作し、入居者向けに公開している事例もある」と話す。

スマサポ、約100社にアプリ提供

クレーム対処時間を削減

 不動産会社向け業務支援サービスを手がけるスマサポ(東京都中央区)は、入居者アプリ「totono(トトノ)」を2020年より提供している。

 チャット機能や掲示板機能を有し、設備故障などトラブルへの対処方法を「FAQ」として約250項目に分類する点が特徴。入居者へ自己解決を促すことで、問い合わせ数や管理会社の対応時間の削減に寄与する。23年8月10日時点の導入企業数は約100社だ。

totonoの利用イメージ

totonoの利用イメージ

 管理戸数約7400戸のシティ・ハウジング(徳島市)は22年11月から、同アプリを電話対応とともに活用している。新型コロナウイルス下での在宅率の増加に伴い騒音クレームが増加したこともあり、入居者対応の効率化を目指し導入。同社が活用する基幹システムと連動する点も導入理由の一つだ。アプリの導入率は約50%で、同社への月500件の問い合わせのうち、totonoからの問い合わせは150件ほど。現場確認が不要な案件はチャット上で対応できるため、当初の導入目的であった業務効率化につながった。

(2023年9月18日8面に掲載)

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