不動産小口化市場3兆円迫る

資産運用で広く投資家集める

資産運用として少額から始められる不動産小口化商品の販売を始める不動産会社が増えている。2017年末での累計額が2兆7000億円を超えた。さらに法改正により参入条件が緩和され、小規模不動産特定共同事業やクラウドファンディングなどによる案件が増加。不動産小口化販売をきっかけに本業へつなげている会社が現れている。

04年から不動産小口化事業を展開するマリオン(東京都新宿区)は2018年までの累計出資額が119億円だ。当初は1口100万円の商品を販売してきたが、近年は1口1万円の特定組合型不動産小口化商品を販売している。預貯金と投資の間となるお金の置き場所としている。特徴は予定分配率は年1.5%(税引き前)ながら、期間無期限で、24時間365日買い取り受け付けが可能なことだ。資産運用にだれでも参加できるような商品を組成したという。須田文広報室長は「不特法による投資として、投資家への間口を広げることが目的」と話す。同社は不動産賃貸事業をベースとしながらも、不動産証券化事業に注力した成長戦略を進めていく考えだ。

資産家を対象に相続対策として販売してきたインテリックス(東京都渋谷区)は小口化商品の累計55億円程度。最近個人の資産運用にシフトし始めている。同社は14年2月から任意組合型の小口化不動産を展開。任意組合型は不動産を所有でき、不動産の税制が適用されるため、相続対策として活用することが可能だ。現在までにシェアハウスやホテル併用レジデンス、商業施設など6物件を不動産小口化商品として販売。

同社の不動産小口化商品は7年から30年で運用している。「不動産小口化商品は運用期間が終われば、売却し、その最終損益を投資家に分配する。すぐに現金化してしまうと相続対策として、また新たに投資をしなくてはならなくなるため、長期での運用にニーズがある」とソリューション事業部の小川真央副部長は説明する。不動産小口化事業の売り上げは19年5月期(前期)で全体の約4%程度で、16億円程度。20年5月期(今期)では24億円を見込んでいるという。

中古マンション売買や不動産投資サービスを展開するGAtechnologies(ジーエーテクノロジーズ東京都港区)は、不動産クラウドファンディングサービスにおいて、1万円から始めることができる都心の中古マンションに特化している。「全1533口の案件を2018年12月20日に募集を開始したところ、10分程度で目標金額が集まった」と話すのは、古澤賢太郎クリストフ社内弁護士だ。

18年8月から不動産小口化販売を開始した同社では、第7号ファンドまでの募集を実施。応募額は累計で11億円を超え、2867人の投資家から集めた。5日から募集を開始する第8~10号ファンドの物件も含めると14億円を超える見込みだ。

古澤弁護士は「不動産投資の入り口としてクラウドファンディングを位置付けている。より多くの人に不動産投資への興味を持ってもらいたい」と話す。運用期間を最短1.5カ月に設定し、短期での売却を可能にすることで、気軽に不動産投資を始めたいというニーズに応えている。

同社は現在、小規模不動産特定共同事業者として、不動産クラウドファンディング事業を展開。19年中には不動産特定共同事業者の許可を取得したい考えだ。

マンスリーマンションの開発、販売、管理を行うレジデンストーキョー(東京都渋谷区)は6月に小規模不動産特定共同事業者の登録を完了した。資産運用をしたい若い世代が増えている一方、不動産投資においては、ローン対象年齢などの観点から時代にマッチしているとは言い難い現状がある。そんな中、個人投資家へ銀行融資を前提とし物件販売を行ってきた同社では、個人向け収益不動産の融資基準が厳格化していることから新しい出口戦略として、不特法を活用する考えだ。マーケティング部兼リーシング部の木下賢一マネージャーは「一棟物の販売が難しい場合、他の選択肢として小口化商品の展開を始める。多くの個人投資家に安定的な投資機会を提供していきたい」と話した。

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