7月19日、20日に全国賃貸住宅新聞社が開催する「賃貸住宅フェア2023」では83講座のセミナーを企画する。ここでは注目セミナーの登壇者を4週連続で紹介。初回となる今回は、20日の講演「フォロワー4万5000人!集客につながるSNS活用のコツ」で登壇する、SNS集客の先進企業2社を取り上げる。
フォロワー4.5万人超
集客の9割に成長
東京都内を中心に賃貸仲介・管理を行うヴィダックス(東京都渋谷区)は「TikTok(ティックトック)」と「インスタグラム」をメインに賃貸仲介の集客を行う。年間880件を成約するが、売り上げの9割がSNSと紹介からだ。
同社は、2020年8月にSNSの運用を開始した。「モテ部屋15秒内覧」と銘打ち、実際に内覧している雰囲気を楽しめる動画を、ティックトックとインスタグラムに投稿してきた。21年の年末からはアカウント名を「モテ部屋30秒内覧」に改め、動画を30~40秒程度に伸ばし投稿している。
22年5月からは、ペット飼育可能な物件の専用アカウントをティックトックとインスタグラムに開設。運用から1年がたち、ペット飼育可能な物件を求めて来店する顧客が開始前と比べ、肌感覚で4、5倍に増えた。
フォロワー数は16日時点で、ペット飼育可能物件のアカウントも含めティックトックが計2万3220人、インスタグラムは計1万9125人にまで増えた。「フェイスブック」や「ツイッター」でもアカウントを運用し、総フォロワー数は4万7570人に上る。
水越英夫社長は「SNS経由で問い合わせをしてくる顧客はすでに当社のファンになってくれていたり、信頼してくれているので、成約率がポータルサイト経由より圧倒的に高い」と話す。
ヴィダックス
東京都渋谷区
水越英夫社長(42)
TikTokとインスタグラムの運用を20年から21年まで主導。
毎月40~50人をSNS経由で集客する。
ポータル外反響2.4倍
来店率も70%越え
東京都北区を中心に隣接エリアで賃貸仲介・管理を行うマイト(東京都北区)はティックトックを活用した結果、ポータルサイト以外からの22年度の問い合わせが21年度比で2.4倍の117件に急増した。
21年12月からティックトックを開始。週1回、物件紹介をメインに動画を投稿し、フォロワーは14日現在で9408人。
反響件数は年間約2000件。22年度は、そのうち約6%に相当する117件がホームページ経由の問い合わせだった。新方宏明社長は「ティックトックやグーグルの当社の口コミなどから総合的に評価したうえで、ホームページ経由で問い合わせしていると考えられる」と推測する。
ティックトックにダイレクトメッセージを設定していないため、SNS起因で問い合わせられた数値は不明だという。
自社ホームページ経由での反響で特徴的なのは、反響来店率が高いことだ。同社の場合、反響来店率はポータルサイト経由では最大約30%だが、自社ホームページ経由では70~80%に上るという。現在では年間の仲介件数約500件のうち、半数がポータルサイト以外からだ。
「ティックトックで紹介している物件への反響というよりも、当社なら希望の物件を探してくれるという信頼関係が、ティックトックをきっかけにできている。そのため成約確度が高くなっているのでは」(新方社長)
マイト
東京都北区
新方宏明社長(39)
21年より TikTokの運用を開始。
成約の5割をポータルサイト以外が占める。
(2023年6月26日28面に掲載)