需要は低賃料から付加価値へ
一般社団法人日本シェアハウス連盟(東京都渋谷区)は、2025年度版の「シェアハウス市場調査」を発表した。25年11月末時点の全国のシェアハウス運営棟数は5943棟、総ベッド数は約6万5000床。24年度と比較し棟数・ベッド数は共に微減となった。同法人渉外担当の中原琢氏は「昨今、シェアハウス業界は物件の所有権や運営者の移譲が盛んで、同一物件が異なる名称でウェブサイト上に登録されているケースがある。今回の調査では重複を精査し統一したため、数値上は減少して見えるが、実質的な市場全体は横ばいだ」と分析した。

都市圏への集中「中規模物件」増
立地が集中したのは、東京都内だ。全国の6〜7割を占める。次いで、1都3県や大阪・名古屋エリアへの供給が依然として顕著だった。都内では23区に物件が密集しており、中でも足立区や板橋区、世田谷区などに多い。
物件規模の傾向は、収容人数10〜29人の物件が約2100棟、5〜9人が約2000棟あり、29人以下の物件が全国の9割以上を占める。特に東京都内では、22年比で4人以下の小規模物件が2154棟から1160棟へ大幅に減少。一方、10〜29人の中規模物件は771棟から1754棟へ急増した。小規模物件は、光熱費や清掃、クレーム対応の固定費比率が高いことから採算面で不利になりやすいため、物件の大型化が進んでいることが読み取れる。

女性専用、3分の1超管理のDX化進む
入居者ニーズは、従来の低賃料を重視する傾向から「コミュニティー形成」や「多様なライフスタイルの実現」といった価値を求める傾向へシフトしている。女性専用物件は2121棟に上り、全体の3分の1を超える。LGBTQ+(性的少数者)フレンドリーやペット飼育可など、コンセプトを明確にした物件が増加している。
建築コストやエネルギー価格の高騰を受け、賃料水準も上昇トレンドにある。運営面ではスマートロックやAIチャットボットを活用した管理のDX化が加速しており、効率性の向上が差別化の鍵となっている。
外国人が追い風中長期滞在獲得か
今後、外国人需要に注目が集まる。育成就労制度の開始や、働く場所を選ばないデジタルノマド人材向けの制度整備を背景に、外国人の中長期滞在需要の底上げが見込まれる。シェアハウスは初期費用を抑えたい若年層や外国人にとって有力な選択肢であり、需要は堅調に推移すると予測される。
本調査は、日本シェアハウス連盟が、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの協力を得て実施。25年11月末時点の情報を基に、主要なシェアハウス専用ポータルサイトの掲載物件のほか、SNS、「グーグルマップ」などを通じて把握した物件の情報を集計した。
(2026年5月18日3面に掲載)





