地主が行う空き家活用 シェアハウスと民泊経営のコツ【賃貸住宅フェア2024 東京セミナーレポート】

横山保全

管理・仲介業|2024年12月26日

当記事は賃貸住宅フェア2024in東京で講演したセミナーを書き起こしたものです。

横山保全 横山忠功社長の写真

講演者

横山保全
東京都中野区
横山忠功社長

 

家主を説得し転貸 改修費を自社負担

 当社は空き家や古民家を再生し、活用する事業をしている。新築にするケースもあるが、コンバージョンしてシェアハウスや宿泊施設にするケースもある。

 現在、若い人を中心に、古民家の人気が高くなっている。東京には古民家風のシェアハウスや宿泊施設がほとんどないのが実情だが、ニーズは確実にある。それならば、転貸や賃貸で借りた物件をこちらでリノベーションし、古民家風にすればいいだろう、というのが私たちのビジネスモデルになる。

 実例として、東京都練馬区でシェアハウスとして運営中の物件について説明する。この物件は雨漏りする箇所があり、そのままでは人が住めるような状態ではなかった。間取りが9LDKと大きく、住居用として用いるには改装のコストがかなりかかるため、倉庫の用途で市場に出ていたものだ。そこで弊社が費用を負担する形でリノベし、シェアハウスとして運営させてもらえるよう直談判して、約半年ほどかけて古民家風のシェアハウスとした。

 西武鉄道新宿線の都立家政駅から徒歩1分の物件で、家賃は6畳ぐらいで6万円ほど。シェアハウス全体でおおよそ30万~32万円ぐらいの収益がある。戸建てとして利用した場合の家賃は16万円前後といったところだったので、収益率だけで見ると2倍程度になるわけだ。

 注意点として、シェアハウスをやるにはある程度の広さと部屋数が必要になる。取り扱うポータルサイトにもよるが、おおよそ80㎡、4室以上あれば使えると考えている。

駅への近さを重視 用途地域には注意

 続いて民泊。昨今は訪日外国人が増えて民泊の需要が激増しており、好立地の物件はもちろん、ターミナル駅から1駅といったアクセスがそこそこ良いところなら、1日10件は申し込みが入るような状況だ。そのため、民泊可能な物件が手元にあるのなら、転用すればそれこそ1日で客付けできると思う。

 一方で、日本人以外の参入者も多く、脱法、違法の行為も目立ってきている。

 それでも民泊の売り上げが激増しているのは事実で、都心部には賃貸より民泊をした方がいいというオーナーが増えているし、不動産事業者としても民泊のことを知らないと仕事にならないという状況になっている。

 こちらも実際の事例から家賃を紹介すると、JR山手線新大久保駅から徒歩5分、1Kの物件で、賃貸だと10万円前後だが、年間180日営業できる民泊可能型とすると15万~20万円程度の家賃が付く。1年通して運営可能な旅館型の物件であれば、さらに増額し20万~30万円の値になるというのが今の相場だ。それぐらい高騰している。

 なお民泊についても注意点があり、それは宿泊業ができる場所に限るということ。特に東京23区内は、国は許可しても区でダメというエリアが結構ある。それと、旅館業として運営する場合は用途地域によっては営業できないという点も気を付けてもらいたい。

 シェアハウスにしても、民泊にしても、オーナーからすると安全面やトラブルについて不安に思う人がいるだろう。シェアハウスについては、定期借家の期間を短くして、問題のある人を短期間で退去させられる仕組みが以前からある。民泊は専門のスタッフや、代行業者を使ったり、比較的マナーが良いファミリー層の客に絞ったりして、対面での応対をすればトラブルが減るはずだ。個人的には、これらにチャレンジしないのはもったいないと思う。

(2024年12月23日18面に掲載)

おすすめ記事▶『横山保全/ジェクトワン、空き家をシェアハウスに』

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