不偏の立場からアドバイス
一般財団法人住宅改良開発公社(東京都千代田区)が、設立から60周年を迎えた。
賃貸住宅の建築時、住宅金融支援機構など金融機関から融資の保証を行う事業で存在感を発揮し続けている。
1955年、住宅不足の時代に誕生した同社の塩島高雄理事長に聞いた。
――設立から60年で、業務に変遷がありました。
塩島理事長 「当初は住宅が圧倒的に足りない時代でした。今では、ご存じの方も少ないと思いますが、もともとは消費者団体の要請から住宅の増改築について相談を受ける業務から始まった団体です。工事の設計、見積もり、融資の斡旋など具体的な対応を行いました。業務開始から半年で1000件以上の相談が寄せられたというのが、住宅不足が切実な問題であったことをうかがわせます。その後30年ほど前から時代の要請を受ける形で、一般住宅よりも建築資金が多く必要な賃貸住宅建築への保証事業を開始し中心業務になっていきました。アパートローンも種類が少ない時代でした。」
――今は家余りの時代です。果たすべき役割も変わってきている。
塩島理事長 「人は移り住みますし、建物は必ず新陳代謝します。我々が行った調査研究でも賃貸住宅自体の需要はなくなりません。これから、住まい方はますます多様になっていくはずです。融資保証の側面から賃貸住宅建築を支援していく点は変わりません。」
――今後、取り組んでいきたいことは。
塩島理事長 「平成2年からオーナー向け情報誌・HARMONYを発刊していますが、こうした賃貸経営にまつわる情報は積極的に発信し続けたいです。今年は、賃貸住宅の建替えに関する情報などをまとめた『賃貸経営ガイドブック』も作製しました。多くの方に読んでいただきたいです。考えてみれば、我々は建築・管理会社などの事業者としがらみなしで、満遍なくお付き合いできます。中立の立場からオーナーにアドバイスできる数少ない機関です。設立当初の相談業務に立ち返り、オーナーと対話できる機会を増やしたいと思います。その一環で、オーナー向けのセミナーの主催も始めました。10月31日に東京会場、12月6日には名古屋でセミナーを予定しています。気軽にご相談に来ていただきたいと思います。」