公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協:東京都千代田区)兵庫県支部(兵庫県神戸市)は6月15日、会員向けの研修会を神戸市で開催した。テーマは賃貸住宅の大規模修繕と長期修繕計画で、同日のほか7月14日の2日間に分けて行う。講師は両日とも、大規模修繕工事を手がけるアローペイント(大阪市)の染矢正行社長が担当する。
テーマは長期修繕計画
6月15日に開催した1部には、約30人が参加した。講師の染矢社長は、管理会社が建物修繕を提案する際に必要な知識について解説。知識の一つに、適切な提案のタイミングを挙げた。
大規模修繕工事は、15年ごとに行うべきという目安があるものの、建物の箇所によって、劣化の進み具合や、修繕が必要なタイミングが異なるのが実態だ。例えば、北側の外壁は15年ごとの塗り替えで十分だといわれている。しかし外階段やベランダの鉄製柵のように、日差しと風雨が当たる部分は15年がたつ前にさび止めの塗装などが必要、パイプスペース扉の内側の塗装は15年以上たってからでの塗り替えでも十分なケースもある、といった内容だ。
「15年ごとに建物すべてを修繕しようとすると、改修が手遅れになる箇所があったり、余分な工事が発生したりすることもある。日常的に建物を点検している管理会社であれば、個々の劣化状況を確認しながら、その都度、適切な修繕工事の必要性を判断し、オーナーに提案できる。管理会社であることを生かし、長期修繕計画を提案できるようになってほしい」と染矢社長は説明した。
研修会の2部は、7月14日に開催する。参加者は、実際に長期修繕計画の作成を体験しながら、賃貸住宅のどういった部分に、どの程度の年数でメンテナンスが必要になるのか、学んでいくという。
日管協では、2023年度から賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度を開始。同制度は建物の維持・保全のために、基本的かつ幅広い知識と技能を持つ人材を育てることを目的としている。
ハウスプロメイン(兵庫県神戸市)の社長を務める、松本智兵庫県支部長は「兵庫県支部でも、会員の賃貸住宅メンテナンス主任者認定取得に力を入れていきたい。今回の研修を、賃貸管理業において建物の長期修繕の必要性や知識を身に付けるきっかけにしてほしい」と語った。
(2023年7月3日28面に掲載)