8月で創業53年を迎え、メイン商圏の石川県小松市で賃貸住宅の管理シェア約15%を誇る志乃丘商事(石川県小松市)。人口減少が進むエリアでの成長の選択肢として、高齢入居者の受け入れにアクセルを踏む。他社と同じ土俵で戦わない、差別化戦略について篠岡沁一郎社長に話を聞いた。
高齢者受け入れに商機見出す
小松でシェア15%
志乃丘商事は、公営住宅の管理を強みに持つ。篠岡社長は「メイン商圏の小松市は、法人や学生など、突出した賃貸住宅需要が見られないエリア。新たな事業の柱として、公営住宅の管理に注目した」と話す。
管理戸数2300戸のうち、5割超を占める1200戸が市営住宅だ。一般の賃貸住宅は、小松市を中心に隣接する白山市、加賀市、能美市で1100戸を管理。年間10戸ペースで純増させてきた。特に小松市内の管理シェアは約15%となる。オーナーの属性は、6割が地主系だ。
同社の創業は売買仲介事業。1971年に、篠岡社長の父がゼネコンと不動産会社の二つの会社を設立した。ゼネコンは倒産し、もう1社の不動産会社が現在の志乃丘商事として事業を継続している。篠岡社長は、明治大学の建築学科を卒業後、北陸エリアで展開するゼネコンに入社。86年に家業に戻り、93年に2代目に就任した。
篠岡社長がトップに就いてから、既存事業として行っていた売買仲介に加え、賃貸管理、賃貸仲介と事業を拡大してきた。管理は、創業時にグループだったゼネコンが建築した賃貸住宅や売買仲介で接点を持ったオーナーから受託。JPMC(東京都千代田区)のパートナー企業に加盟することなどにより、着実に管理戸数を増加。2018年ごろには1000戸を突破した。仲介事業は、不動産フランチャイズチェーンの「ピタットハウス」に加盟する。
事業構成比は、売上高のうち、賃貸管理が4割、賃貸仲介が3割、売買仲介が2割、公営住宅管理が1割。
従業員は18人で、小松市に本社兼店舗、金沢市に仲介店舗を置き計2拠点を構える。