大手ハウスメーカーが省エネ賃貸住宅の建築に本腰を入れる。一次エネルギー収支をゼロにするZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)も含めた環境配慮型賃貸について3社に最新の取り組みと今後の展望について聞いた。
CO2収支、マイナスも
12月から実証実験 LPガス活用
大和ハウス工業(大阪市)は、太陽光発電などを導入して、居住時の年間CO2排出量をトータルでマイナスにする「ネット・カーボンマイナス賃貸住宅」の実証実験を12月27日から2年間行う。
実証実験を行うのは、群馬県に所在する全戸ZEH仕様の新築賃貸住宅だ。軽量鉄骨造2階建ての2棟16戸。施主はプロパンガスなどのエネルギー事業を主力とするサンワ(群馬県前橋市)。設計と施工を大和ハウス工業が、賃貸管理と入居者へのヒアリング調査などを大和リビング(東京都新宿区)が手がける。
同実験では次の五つの設備を導入する。①原料の採取から利用までのCO2排出量を植林などの環境保全活動などにより差し引いて実質ゼロとしたカーボンニュ―トラルLPガス②ガスから発電と給湯を行う家庭用燃料電池「エネファーム」③太陽光発電システム④蓄電池⑤②〜④を連携させて、エネファームで発電した電気を蓄電池に貯めることなどを可能にした「切替盤」。これらにより一般的な賃貸住宅と比較して、CO2排出量収支を200%削減できる計算だ。
大和ハウス工業群馬支店集合住宅営業所前橋出張所の石井良則出張所長は「同物件は入居者を2〜4人で想定した場合、一般的な賃貸住宅と比べて1か月あたり5000〜1万円光熱費が安くなる計算だ。環境配慮型住宅の普及には、入居者メリットの訴求が重要だ」と話した。
入居者売電方式 創エネを体感
積水ハウス(大阪市)は、住戸単位で一次エネルギー削減率が評価されるZEHの供給を推進する。