ここ数年、大型アパート物件では入居者のニーズに呼応したトレンドが見られる。年明けから賃料規制が施行されるカリフォルニア州では賃借期間の長期化が予想される一方で、規制対象外となる都心の築浅大型アパートの人気は高い。そこでは高い賃料に見合う付加価値を提供することで収益拡大を狙う投資家の姿勢がうかがえる。
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市場を席巻するミレニアル世代
2010年以降は住宅価格の高騰で賃借族へと移行する中間所得層に加え、ジェネレーションG-XやG-Y世代が賃借人として参入することで新たなトレンドが生まれている。中でも新築物件が急増している米西海岸のアパート市場では「アメニティ競争」ともいわれ、大手開発業者は競って不動産テックに慣れ親しんだ賃借層をターゲットにあの手この手の共益設備の新設に余念がない。かつて賃貸市場では、最初に「家賃」次いで「立地」が重要といわれたが、最近はアメニティへの関心も高まり従来型の屋外ラウンジ、暖炉、キッチングリル、娯楽室から最近ではコンシェルジュ・サービスやフィットネス、全館インターネット設備、さらには犬専用公園(遊び場)などへの需要の変化がうかがえる。新規サービスが広がる一方で賃借人のニーズに呼応しない設備やサービスは消えている。直近の入居者への調査では、アメニティ・サービスで重要な点は日常生活で「時間の節約」につながることといった意見が多く聞かれる。