EPS(Earnings Per Share)とは、1株当たりの純利益を指す言葉で、当期純利益÷自社株を含まない発行済み株式数で算出される指標だ。EPSが高ければ高いほど、企業の収益力が高いと判断できる。今回は不動産セクターの上場企業を対象に、EPSランキングを紹介していく。
高収益化でも市場評価低迷目立つ
株式流動性も課題
不動産銘柄は株式市場でも高い評価を得ている分野とは言い難いが、収益性の高い企業については今後評価がされていく可能性は十分にあるはずだ。不動産セクターでEPSトップになったケイアイスター不動産(3465)は22年3月期業績も増収増益予想で、過去最高業績を見通しており、株価も上場来高値圏にある。それでもPERで見れば9.4倍と、平均とされる17倍から見れば割安感が滲む。
3位のエスリード(8877)も業績好調。22年3月期は増収増益予想で、当期純利益を除いて過去最高を更新する見通しだ。22年3月期の中間決算でも、柱の不動産販売事業は前期比21.8%増収で、セグメント利益も同43.5%増と大幅増。賃貸管理・建物管理などを手掛けるグループ各社で構成される「その他」事業も中間決算でセグメント利益11億5200万円と、利益全体の4割弱を占めるまで成長している。1株当たり配当が年間40円で3期連続横ばいとなっている点が気になるところか。
EPSでは高い収益性を示しながらも時価総額が冴えないのが、いわゆる小型株だ。フォーライフ(3477)は発行済み株式数が200万株。一日の売買も1万株を超える日は殆どなく、低調な商いが続いている。業績を見れば、22年3月期に過去最高業績更新予想であり、配当についても3期連続での増配予想と妙味十分。流動性向上への施策や投資家向けの広報強化が待たれるところだろう。
同様にアズ企画設計(3490)も22年2月期は過去最高の売上高を見込み、最終利益も前期の1000万円から1億1200万円まで回復見込みだが、こちらも発行済み株式数が95万1000株と少なく、薄商いとなっているのが現状だ。好業績に株価評価が付いてくると思いたいところだが、市場評価が付きづらい面も考慮しておくべきだ。
表中で参考に示したBPSは1株当たり純資産のこと。企業の安定性を測る指標として用いられることが多く、高いほど安定しているとされる。ただし、長引く業績低迷や、実質債務超過の疑いのある企業についてはBPSが1倍割れもあるので注意が必要だと言える。こちらも併せて参照し、企業業績と株価評価の全体像を掴むきっかけにしてもらいたい。
(2021年12月13日19面に掲載)