家主にとって、退去時の原状回復費用をいかに削減するかは賃貸経営をするうえでの課題といえる。そのような家主の悩みを解決するのが、独自技術でクロスを洗浄し再生を図り、コストダウンとエコロジーを両立するサンリミックス(大阪府忠岡町)だ。創業から30年を迎えた同社の松原昌弘社長に、これまでの歩みや同社のサービスについて聞いた。
独自の洗浄技術を確立 貼り替えずに利用
―まずは御社の事業について教えてください。
クロスの洗浄とリペアに特化して、「貼り替えない」「塗らない」クロスクリーニングの技術を提供しています。クロスに付着した汚れを独自に開発した洗剤で分子レベルで分解し、汚れを落とすことで、新品同様にクロスをよみがえらせます。創業者の藤原三洲男が、まだ貼り替えなくても良いクロスがたくさん廃棄されるのを見て、「もったいない」の精神でクロスの汚れ落としの研究を始めたのがきっかけです。以来、さまざまな特許を取得し、「クロス再生」に関する事業を展開しています。施工時間・施工単価を抑え、消臭効果もある技術で、原状回復の市場において独自のポジションを獲得しています。
―社長に就任後はどのような変革を行ったのですか。
2012年、先代の死去によって社長に就任した当初は、東京と大阪に自社の施工部門がありました。それなりの数を施工していましたが、徐々に自社施工から代理店に任せる業態にシフトしていきました。
―代理店はどれくらいありますか。
今では全国に約170店あります。代理店の属性はさまざまで、クリーニング会社はもちろん、リフォーム会社、商業施設を専門にしている会社や福祉施設が得意な会社など幅広いです。クロス再生というと、クロス貼り替え業者に商売敵だと思われることもあるのですが、実は当社の技術はクロス貼り替え業者にこそ使っていただきたい技術です。寿命がきたクロスは貼り替え、まだ使えるクロスはクリーニングとリペアを行い、現場の回転率を上げることで利益アップにつながります。
―洗浄と貼り替えの判断はどのようにしていますか。
代理店ごとに貼り替え基準が異ならないよう、クロスの汚れ具合を5段階で判断するシートを用意しています。代理店には、加盟時に当社の「リフェイスアカデミー」で5日間の研修を受講して、クロス洗浄のノウハウを学んでもらっています。施工の際には、汚れの種類ごとに複数の洗剤を調合していますが、まずは汚れの分析をきちんと行えるかがポイントです。油汚れなのか電気製品によるカーボン汚れなのか、皮脂汚れなのかなど、汚れの原因を現場で判断して、洗剤を調合してどの程度の時間塗布するということを学んでいただきます。洗剤の調合を少し変えるだけで汚れの取れ方が全く違ってくるのです。
―特殊な洗剤を使っているということでしょうか。