初期消火や避難経路の確保に
消火用具の製造を行うボネックス(埼玉県新座市)は、投げて火を消す「投げ消すサット119エコ」の製造、販売を行っている。火元に投げ入れることで消火や火災の抑制をするボトルタイプの消火用具だ。
同商品5本で消火器1本と同程度の消火能力があり、天井に火が届くまでの初期消火に使用することができる。割れやすいボトルに入っているため、力の弱い子どもや高齢者でも簡単に使用することが可能だという。
日本消防検定協会(東京都調布市)の特定機器評価番号を取得しており、同協会の型式適合評価において消火能力が確認されている。
共用部に設置されている消火器に比べ、居室内で保管できる同製品は、火災の際に外まで取りに行く必要がなく使用しやすい。また火災の際に持って逃げることができるため、避難途中に炎があった場合、投げ入れて炎を抑制することで避難経路を確保することもできる。
ショルダータイプの保護カバーがあることで、簡単に持ち運ぶことができる
食品添加物を主成分とするため、ボトルを割ってしまい消火剤を室内にこぼしても、濡れた雑巾で拭き取ることができる。そのため原状回復の必要がある賃貸住宅でも利用しやすい。料金は持ち運び用の保護カバーと天ぷら火災用の消火パックがセットになったもので、7370円(税込み)だ。
7月1日時点の累計出荷実績は300万個。このうち、約8割は不動産管理会社や仲介会社を通した販売だ。防災への関心が高まる引っ越しのタイミングで商品説明を行うことで、消費者にメリットが伝わりやすいという。
同商品のほかに、ボトルを保護する緩衝材に、環境に配慮した再生紙を使用した「投げ消すサステナ119」も販売。苅谷公司社長は「家族を守ることができる商品を開発したいという思いで、投げ消すサット119エコの開発を行った。家庭内に備えることで住宅火災の初期消火に寄与したい。2026年中に日本の全家庭における普及率5%を目指す」と話す。
(2024年8月5日34面に掲載)