総合不動産会社のリスト(神奈川県横浜市)は、開発事業を軸に2023年12月期の売り上げが465億円を超えた。海外の富裕層の顧客を獲得し、国内外での不動産売買仲介でも成長。リピーター獲得のためのソフトサービスも充実させていく。北見尚之社長に、経営戦略と今後の展望について聞いた。
富裕層向けの物件提供強化
経常28億円
リストは、東京都や神奈川県を中心に不動産開発事業や仲介、賃貸管理など幅広く手がける。10年には世界的に有名な高級不動産仲介ブランド「Sotheby's International Realty(サザビーズインターナショナルリアルティー)」(以下、サザビーズ)の日本での独占営業権を取得。クロスボーダー取引や海外での開発・投資事業にも力を入れる。
23年12月期の連結売上高は465億円。内訳は国内事業が約435億円、海外事業が約30億円。
国内事業の内訳は、開発事業が約246億円、そのほかの仲介・販売代理・賃貸管理事業などで約189億円。経常利益は約28億円に上る。
過半数を占める開発事業の売上高は、23年12月期に約246億円だったが、24年12月期は350億円を見込む。特に、都内のマンション・オフィスビルやリゾート開発事業が増えているという。
仲介から再開発へ
リストは、仲介業からスタートし、開発事業を強化することで成長してきた。
創業は1991年。北見社長が勤めていた美容サービス会社でのキャリアがきっかけだった。支店の開発を任され、不動産事業者と関わる中で、接客態度など不動産業界の風土に疑問を感じ「もっと質の高い接客が提供できる」と考えた。ビジネスチャンスを感じ、大手不動産仲介会社へ転職。契約100件という目標をわずか2年で達成。25歳でリストを起業した。地元の神奈川県を拠点に、仲介業から徐々に領域を広げ、分譲販売や小規模なマンション開発事業などにも取り組むようになった。
業績が大きく伸びたターニングポイントは、神奈川県の大規模再開発だった。地域に密着した販売・開発の実績が認められて、地元の金融機関から声をかけられ、2001年から京浜急行上大岡駅前の再開発事業に着手。並行してJR東海道線辻堂駅前の再開発事業にも取り組み、どちらも10年に竣工した。北見社長は「地元の金融機関との縁がきっかけで挑戦したことが、大きな転換点となった」と振り返る。