「続ける努力」こそが競争優位性

【連載】現場レポート 賃貸業界のキャリア形成 VOL.93

その他|2020年02月24日

 「継続は力なり」という言葉がある。安易に妥協するのではなく、短期的な成果で判断せずに、持続して取り組みをコツコツと続けていく。今回は、持続可能な成長のための「継続力」について論じたい。

無茶な目標設定はモチベーションをあげない

 毎年のように「管理物件拡大」「仲介件数ギネスに挑戦」「成約率66%目標」と掲げる不動産会社。

 しかし、一度も達成したことのない目標に、社員は全くモチベーションが湧かない。「だって達成できないんですから」とうんざりしてしまう。こんなケースはよくある。

 例えば、高校野球で「目指せ甲子園」。プロ野球で「今年は優勝したいです」という抱負は、「目指せベスト8」などというよりは、カッコイイと私たちは感じる。きっと戦国時代の「天下統一」「天下布武」のような「頂点」のビジョンに対する憧れの気持ちが強いからである。しかし、「ラグビー日本代表が悲願のベスト8を達成」というニュースの時、有言実行もいいものだと思ったはずだ。あまりに過度な目標設定を継続したところで、現場は「えー、どうやって?」と戸惑うだけである。

 たしかに「打率4割」とか「ホームラン60本」などと掲げてしまうのは、モチベーションが湧きにくい。ずっと達成できない目標では形骸化してしまうこともあるものである。

行動目標は「継続」が鍵

 このように業績目標は変化していくものであるが、行動面で「これをやる」と決めたことは、「続ける力」がその成否を分ける。行動目標はむしろそのアイデアよりも、続けられるかが勝負の分かれ目だ。

 例えば、良和ハウス(広島市)では、案内時に必ずお客様用のスリッパを持参する。冬は冬用である。クルマはエンジンをかけて接客者以外のメンバーがあらかじめ温めておき、接客者はその車へと案内する。こうしたノウハウは「続けている」からこそ価値がある。競合他社が見学に来て「これはステキなおもてなしの姿勢ですネ」と言ってまねをしてもかまわない。なぜなら、ライバル会社は「きっとやめてしまうから」怖くないのだ。右利きのお客様には左側に飲み物を出す。ずっとその振る舞いを継続するからこその力。「おもてなし」の工夫そのものだけでなく「それを続けるケイパビリティー」が成長要因といえる。

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