前回は、継続力をテーマに論じたが今回は逆の視点。「変える力」。イノベーション=変革には、情勢を見極める勝負師の不退転の意思決定が必要である。
新型コロナ渦中でセミナーをするかしないか
この原稿を書いている2月にも刻一刻と情勢の変わる新型コロナショック。マスクが街から消え、有名人のコンサートが中止となり、リモートワークでの出社が発生。旅行が減って老舗ホテルが倒産したこの事件では、私も毎日のようにセミナーや研修の中止の連絡をいただいた。
ただ、2月26日の「この1~2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ全国的なイベントスポーツは中止、延期または規模の縮小を要請」という首相表明がひとつの転換期であった。それまでは、「中止するほうがまれ」で「開催するほうが普通」ぐらいの空気感であった。私のクライアントでも官公庁関係のものがこの前に早々と中止になったが、業界団体の会合などは比較的予定通り行われていた。が、この首相要請からは「やるほうが、よくやるねという強行・決行」で「普通は開催回避」という空気であった。
周囲を見て、情勢判断する=空気を読む
こうしたニュースで起こっていることと自分の身近なことがつながっていない人は「4月の会合には来られますか?」「花見にみんなで行こうよ」と世の中とつながっていないことがある。そう毎日、ワイドショーを見ているわけではないから、そういう「世間の空気」というものを「感じる力」は、どうしても会社で目の前のことだけ見ているとズレてしまうことがある。自分の半径30mぐらいで起こっていることが、案外、世界情勢とかニュースの事情で振り回されてしまうことはある。
潮流に乗るには潮流の変化をつかむ必要がある。
収益物件売買の終焉
長年お付き合いのあるA社の例である。
創業以来、賃貸の一棟ものを中心にサラリーマン大家さんや地主さんに、売買仲介するビジネススキームでイケイケであった。
しかし、昨年10月には、実需売買に社業を変更。本社も移転し、ホームページも変更し、1月からは新体制で、普通に売買仲介を行っている。もう融資の潮目は変わり、これまであった流れは終わり。そこで大きな意思決定をしたのである。
まだ、「どこかで貸してくれる金融機関があって」「再建築不可物件ならば」「買取再販で」とあらがうという判断も判。一方で、決断をしたというのは、単なる「変わり身」ではなく、強い覚悟があってのことである。