再生可能な不動産を良質なストックに変えていく。シェアカンパニー(東京都渋谷区)は、求心力を失った土地や建物を、建築とオペレーションの観点から刷新し、当該不動産の活気を取り戻している。取り扱う物件はシェアハウスや店舗、宿泊施設などさまざまだ。事業内容や今後の展開について、佐々木祥太社長に話を聞いた。
開発、運営を一貫 不動産価値を創造
―不動産開発や建築、管理など、幅広く事業を展開していますね。
不動産の仕入れから企画・開発、販売、管理までワンストップで行っていることが当社の強みです。土地を購入して新築を建てることもあれば、既存物件をリノベーションして再生するケースもあります。施工後は、当社が借り上げて運営するケースが大半です。
―具体的にはどのようなことをしていますか。
不動産には所有者にとっての価値、建築には社会的・文化的な価値があります。不動産の立地や、舞台装置となる建築の格好良さなどは価値を決める要素として重要ですが、その物件の真の価値は、その場所に誰が集まり、どのように使われるのかというオペレーションによって決まるものです。当社は、不動産、建築、オペレーションをシームレスにつなぎデザインすることで、不動産の経済的価値の創出や社会課題の解決へとつなげることを考えています。
―事例としてこれまで手がけてきた案件を教えてください。
東京メトロ丸ノ内線池袋駅から徒歩3分の場所で、マンションの運営をしています。元々61戸のワンルームマンションだったものを2012年に当社が借り上げて、共用スペース付きのマンションに改装しました。20㎡以下で、トイレとバス、洗面から成る3点ユニット式だったマンションは、ワンルームマンション規制がない時期に大量供給されたこともあり、競争力が低下していました。新たに共用部をつくることで、シェアハウスのようでありながらプライバシーがしっかり確保できる暮らしが実現できることが訴求力となり、高稼働率を維持しています。同物件は22年に再度、大幅な内装投資を実施して、シアタールーム、コワーキングスペース、ルーフトップガーデンなどの共用設備を充実させました。賃料は7万5000〜11万円(別途共益費2万円)で、家具付きやペットとの入居が可能な部屋もあります。
―新築ではどのような事例がありますか。