大阪メトロ(大阪市)は、大阪メトロ御堂筋線の西田辺駅、長居駅、あびこ駅周辺で、2019年から「Osaka Metroエリアリノベーションプロジェクト」として、沿線の魅力発信や遊休不動産の活用に取り組む。目的は、まちの価値を高め、縮退時代を楽しく生きるくらしの提供だ。選ばれるまちとなり、大阪を盛り上げ、地下鉄の乗降者数を伸ばすことを目指す。これまでの5年間で、12戸の空き家を借り上げ、リノベーションし、住宅、店舗などとしてテナントに転貸する。
乗降客を増やすために
賃料収入と乗降者数の間には、因果関係があるという。大阪メトロがそれに気が付いたのは、西田辺駅の隣駅、昭和町駅の変化だった。昭和町駅は08年ごろから、10年かけて乗降者数を微増ながらも右肩上がりで伸ばしていた。
担当チームは、昭和町エリアで人口が増えていることを知り、その要因を探った。行きついたのは、地域で買う「Buy Local(以下、バイローカル)」活動を推進する地域の有志の活動だった(6月3日号掲載)。空き家の利活用により小規模店舗を誘致すると同時に、地域住民と店舗の接点をつくり出すイベントや小冊子の存在を知った。
「同じこと、できへんかな」担当チームは、昭和町のバイローカル活動に関わる、都市計画家の加藤寛之氏に相談を持ちかけた。昭和町で起きたまちの変化を、隣に続く駅でも起こそうというものだ。こうして、3駅でのエリアリノベプロジェクトが始まった。