中国・四国地方を中心に約2万6000戸を管理する穴吹ハウジングサービス(香川県高松市)は建物のメンテナンスに注力。管理物件の資産価値向上を目指す。研修施設を自社で保有し、資格取得を推進。社員の提案力アップで大規模修繕の受注件数を大きく伸ばす。
資格や研修で知識深める
自社施設で教育 提案力向上狙う
穴吹ハウジングサ―ビスでは、社員の建物メンテナンスの知識向上を重視した取り組みを行っている。
本拠地である高松市と、神奈川県川崎市に研修用施設を保有しており、同社の社員は部署に関係なく、入社後に同施設で建物メンテナンスの基礎知識を学ぶ。
さらに「賃貸住宅メンテナンス主任者(以下、メンテナンス主任者)」取得を推進。社員がより深い知識を習得できるよう促す。建物メンテナンスを行う部屋ナビ事業部の内勤社員も含めた約200人のうち、PM課・BM課のスタッフを中心に、約100人(9月末時点)がすでに取得済みだ。
資格取得後は、網戸、換気扇、洗面化粧台の付け替えや、フローリングの補修など、建物メンテナンスの実務研修を自社保有施設で受講する。実際に建物メンテナンスをより深く学んだ知識を生かして、オーナーからの信頼を獲得し、大規模修繕の受注件数を伸ばしているのが同社の特徴だ。
官公庁事業本部開発事業部の髙地浩子部長は「メンテナンス主任者の資格獲得やその後の研修を通して見積もりや説明の精度を上げることができているので、オーナーに納得してもらいやすい」と話す。
その結果、2023年度の大規模修繕の受注件数は前年度比1.5倍に伸長した。
毎月建物を巡回 年約100棟に提案
修繕提案では、定期巡回とそれを基にした修繕計画が核となっている。
建物メンテナンスの提案は部屋ナビ事業部のうち約30人が担当。1人あたり30人前後のオーナーを受け持つ。大規模修繕のみで1人あたり年間3棟、全体で約100棟に提案を行っている。
グループ会社に委託する法令点検のほか、PM課・BM課のスタッフによる月1〜2回の巡回を実施。建物修繕の提案の根拠にしている。毎月の点検はスタッフが写真を撮影し、その写真データを建物診断のソフトを使って分析する。
物件ごとに「コンサルティングプラン」と「マネジメントプラン」の2種類の修繕計画書を作成するのも特徴だ。コンサルティングプランは15〜20年以上の長期スパンで建物を維持・保全するための保守点検や修繕の長期計画書。マネジメントプランはこの1年でどういった提案を行うのかを計画し、実際に行った修繕の内容を管理するための短期計画書だ。
これらの計画書を基にPM課・BM課の担当スタッフがオーナーに対して修繕提案を行っている。オーナーの収支計画を考慮し、2〜3年単位で中長期的に必要になる修繕内容の優先度を加味し、分割して提案することが多いという。
資産価値向上へ 商品開発を計画
建物メンテナンスの提案で同社が重視するのは適正な維持管理と、物件の資産価値向上だ。オーナーの予算を踏まえ、一部を外壁塗装や、エントランスへのオートロック導入といった家賃を向上させる施策も必ず提案している。実際に、同社の年間の修繕工事のうち、8〜9割は現状維持のためのものだが、1〜2割はバリューアップ工事だ。
「高い入居率や家賃アップを実現することがオーナーの満足度につながる。そのためには、長期的に資産価値を向上させるための提案もしていかなければならない。選ばれる物件にするためにも、全体の1〜2割を占めている現状からさらに高めたい」(髙地部長)
今後は、資産価値を向上させる提案をオーナーが受け入れやすくするため、バリューアップ工事も含めた大規模修繕のパッケージ商品をつくる予定だ。都度見積もりを取って修繕費用を調べるより、物件規模に応じた費用感がわかりやすいほうが、オーナーも検討しやすいと見込む。
穴吹ハウジングサービス
香川県高松市
髙地浩子部長(56)
(2024年11月4日20面に掲載)





