アコーディア・ゴルフ(東京都品川区)、フェニックスリゾート(宮崎市)など、日本で大型の不動産に投資するアメリカのファンド運用会社、フォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン(以下、フォートレス:東京都港区)は2015年、大阪市が所有していた複合施設「ORC(オーク)200」を86億2100万円で取得した。当時、ORC200は、空きテナントスペースが目立ち、市の不採算事業の象徴としてメディアで取り上げられる機会も多かった。フォートレスは、18年に「大阪ベイタワー」としてリブランドし、再生策を施し不動産価値を高めた。
地域住民が利用しない
大阪ベイタワーは、大阪市港区の大阪メトロ中央線・JR大阪環状線の弁天町駅に直結し、地上50階建て地下3階建てのメインタワーを中心とする五つの建物から構成される。商業施設、オフィス、ホテル、住居から成る複合施設だ。このうち、フォートレスは4棟を所有した。開発したのは大阪市で、1993年にORC200として全棟竣工した。
官有不動産の再生に数多く関わったフォートレスから見ると、ORC200は、商業施設部分の認知度や集客力の低さが課題だった。再生を担当した橋本健氏は「特に、半径3km以内の近隣住民から、商業施設としての評価がないに等しく、小さな商店街の集合体程度に受け止められていた」と話す。フォートレスは集客力を高めるために「外観・内装等の環境意匠」「集客力あるアンカーテナントの誘致を含めたテナントミックス組成」「近隣住民との連携」の三つを改善ポイントとして注力した。