シティ・ハウジング、現場が企画した「企業内大学」

シティ・ハウジング

管理・仲介業|2025年02月06日

CITY Collegeの様子。多い時には全社員の8割が参加する

 徳島県で管理・仲介を行うシティ・ハウジング(徳島市)は、社員による社員のための企業内大学「CITY College(シティーカレッジ)」を有志が運営。向上心を持つ社員に学びの機会を提供することで、意識改革や社内の業務連携につなげる。

全社員の8割が参加も

きっかけは異動「他部署の理解を」

 CITY Collegeは、シティ・ハウジングの社員の思いから生まれた学びの場だ。

 2024年は6回を実施。参加者数は講師も含め、平均40人ほど。業務時間外の扱いで、自由参加にもかかわらず、多い時には全社員60人のうち7〜8割が参加する。

 一人の社員が「ほかの部署の業務を理解したい」と思い、声を上げたことからCITY Collegeは始まった。カスタマーサービスグループの菅生春香課長代理は、16年に入社後、総務管理グループに配属。同年10月に現在の部署に異動になった。

 菅生課長代理は「他部署について学ぶことで業務改善ができるのではないか。時間の経過につれ、仕事のやりかたが変わる中、今の業務の手法を学び合うことによって、プラスアルファの改善提案ができるのではないかと考えました。同僚に相談するうち、勉強会のような学びの機会を会社に提案することになりました」と語る。

 CITY Collegeの企画書を作り、川角良太社長に持ち込んだ。川角社長は「当社では、『社員からの提案』を行動指針の一つとして定めています。トップダウンでやってきた会社だったので、ボトムアップで社員からの提案が出るようにしていきたいと思っていました」と話す。その中で上がってきた提案だったため、受け入れて、実際にやってみる。うまくいかなければ、やり方を変えればいいと思い、ゴーサインを出したという。

 まずはほかの社員の参加が必要になる。最初はある程度経営者が関わっていかないと、まとめきれないだろうと川角社長は考え、主体は菅生課長代理らに任せながらも、アドバイスを行った。

委員会を発足 口コミで認知

 社長への提案後、23年5月22日にCITY College運営委員会が発足。その1カ月後の同年6月20日に初開催した。テーマは「入金処理と外注費支払い業務について」。初めての試みということもあり、参加者は19人にとどまった。

 「どういうものが始まるか、社員の皆さんに説明だけではなかなか伝わりにくかったようです。自由参加ではありますが、初回は人数が少なく課題に感じていました。うれしいことに、参加者からほかの社員に口コミで内容が伝わったことで、徐々に参加人数が増えていきました」(菅生課長代理)

 告知は、同社が毎月行う全社員参加の会議で発信。利用する社内チャットで参加の有無を入力する。開催後は、会場で配布する紙のアンケートに感想や今後希望するテーマなどを記載してもらい、アンケートボックスで回収する。

 当初の運営委員会は菅生課長代理ともう一人の2人だったが、現在は各部署から参加。4人でスケジュールやテーマ決め、講師への依頼、当日の運営などを行う。

 時間は業務時間終了後の午後6時20分〜7時10分の50分間。参加人数に応じて同社の会議室2箇所を使い分ける。講師は各テーマに精通する部署の社員が務める。23年に番外編を含めて6回、24年にも同6回、計12回の開催。累計の参加者数は319人になった。

CITY College
24年実施の年間テーマ

広がるテーマ 上がった意見反映

 テーマは、家賃集金・送金業務など社内の業務への理解を深める内容から、「エクセル」の操作方法、宅地建物取引士(宅建士)試験の勉強ノウハウなど多様だ。

 開催当初は社内業務から委員会でピックアップしたうえで、複数選択方式でアンケートを取り、テーマを決めていた。そのうちに、参加者アンケートの自由記述欄への記載で、エクセルや「パワーポイント」の活用方法が学びたいといった意見も寄せられるようになった。

 参加者からは、CITY Collegeを通して、他の部署が行っている業務を知ることができ、顧客からの問い合わせに対しても回答できる幅が広がったという感想も上がる。

 同取り組みは継続していく予定だが、形式などを変えていくことも検討している。「今は対面式で講師から参加者へのレクチャー形式になっています。まだ、具体化はしていませんが、グループディスカッションも取り入れることで、社員の交流や意見交換の機会をつくっていけたらと考えています」(菅生課長代理)

(河内)
(2025年2月3日20面に掲載)

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