Q.正当事由の具備は通知時だけ?
A.期間終了まで持続する必要があります
2025年度の賃貸不動産経営管理士試験の問5は、賃貸借契約の終了から出題されました。頻出分野でしたので正答率は73.3%と高く、絶対に得点できなければならない問題でした。
更新拒絶や解約申し入れは、実務ではトラブルが顕在化しやすい局面でもあり、本稿では、試験問題を手がかりに、正当事由の考え方と現場での注意点を整理します。
正当事由の存在 満了まで継続必須
借地借家法28条は、建物賃貸借の更新拒絶や解約申し入れについて、正当事由がなければできないとしています。その判断要素として、賃貸人・賃借人双方の建物使用の必要性のほか、従前の経過、建物の利用状況・現況、そして明け渡し条件としての財産給付(立ち退き料の申し出)などを総合的に考慮すると規定しています。
この「総合考慮」という構造が重要です。正当事由は単独の事情で決まるのではなく、複数の要素の組み合わせで評価されるため、結論は事案ごとに変動します。だからこそ、管理実務では早期の整理と証拠化が欠かせません。
正当事由は、更新拒絶の通知時点で正当事由が必要であるだけでなく、その後、期間満了まで正当事由が存在し続ける必要がある点にあります。(借地借家法28条、最判昭和28年1月30日)
例えば、賃貸人が「自己使用するため更新しない」と通知したにもかかわらず、満了直前になって第三者に高値で貸す意向が明らかになった場合、正当事由の根拠が崩れる可能性があります。通知の形式は整っていても、実質的には更新拒絶が認められないリスクが高まります。
このように、正当事由は「通知の瞬間だけ存在すれば足りる」という性質ではなく、満了までの継続性を含めて審査されます。
実務では、ここを読み違えると、立ち退き交渉や明け渡し訴訟の見通しが大きく狂います。




