「【テック×不動産】未来を描くクロストーク」は、イタンジ代表の永嶋が、業界をリードする皆さんとともに、不動産の未来について考える対談企画です。第10回では、サムティプロパティマネジメント(大阪市)の植田剛志社長に、業界の課題や課題解決に向けた取り組みについて伺いました。
永嶋 御社では積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めていますが、その先に実現したいことは何でしょうか。
植田 DXは単に「業務を効率化すること」ではありません。効率化したうえで、新たな価値を創出する。それを実現して初めてDXと呼べると考えています。
当社グループは「不動産を、超えてゆけ。」というスローガンを掲げています。その言葉のとおり、これまでの管理会社の枠組みに捉われず、新たな価値を生み出すことを目指しています。そのためにも、これまで多くの手間と時間を要した業務をDXで効率化し、人間にしかできない価値創造に目を向けられるようにしていくことが重要です。
永嶋 新たな付加価値づくりは、多くの管理会社が悩んでいる点です。先日、話を伺った別の方は、不動産会社は入居者・転居者にとっての「ライフプランナー」のような存在になれるのではないか、と考えていました。
植田 それも価値創出の一つだと思います。そうした方向に進むためにも、まずは効率化が必要です。例えばお客さまにメール一つ送るにしてもその時間を短縮できれば、別のことを考える時間ができます。
そこを会社として効率化せずに「付加価値が大切」といっても難しいですよね。御社のようなシステム会社には、そのようなこれまで手間であった業務を効率化する役割を大いに期待しています。
サムティプロパティマネジメント植田社長(右)とイタンジ永嶋代表(左)
永嶋 ありがとうございます。ほかに今後、不動産業界で必要な意識変化はありますか。
植田 当グループには、「インフレ10カ条」があります。その中には「明日は今日より高くなる」「明日の土地は今日の価格では買えない」といった10個の言葉があり、グループ全体で共有しています。
永嶋 国内の収入に大きな変化がない中で、印象的ですね。社員の皆さんにはどのようなアクションを期待されているのでしょうか。
植田 日本が成長するためには「安さ」を追い求めるところから、まず意識を変える必要があります。そこに早く気づいた企業が生き残るのだと思います。
管理会社は価格競争が激しく、どこも疲弊しています。私が32~33歳のころは、手数料3%でどこよりも安かったのですが、今は2%が当たり前。このままでは、耐えられない会社も増えるでしょう。「安く」だけでは、どこも生き残れなくなってしまいます。その意識を変えていかなければなりません。
永嶋 最後に、今後どのような会社づくりを目指しているのか教えてください。
植田 会社の大きな目標としては「管理戸数10万戸」の達成です。一方で私個人としては、会社をもっと強い組織にしていきたいと考えています。
私は今年58歳で、65歳を一つの節目と考えたときに、自分がいなくなったら衰退してしまうような組織を残すわけにはいきません。強い組織体制を整えて「100年企業」を目指したい。会社のブランドと組織が100年間続く基盤を築いていきたいと思っています。
永嶋 私も同じ思いがあります。創業当時は10人ほどの組織で、吹けば飛んでしまうような会社でしたが、今では多くの方にご利用いただいており、不動産業界のインフラ的な役割を担いつつあります。皆さまの本業を支えるシステムとして責任は重く、堅牢な組織づくりと継続性の高いシステム構築を今後も進めていきたいと思っています。
イタンジ
代表取締役社長執行役員CEO
永嶋章弘
筑波大学大学院システム情報工学研究科にて情報工学修士号を取得後、ニフティに入社。2014年、イタンジに入社し複数新規事業を立ち上げ、16年、メルカリにPdMとして転職。18年、イタンジに執行役員として再入社。23年11月、CEOに就任。
(2026年2月23日12面に掲載)





